金融市場NOW

投資家 新興国通貨を選別へ

2017年12月04日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

経済成長や政治環境などを考慮

  • トランプ米政権発足前に米国に回帰していた資金が再び新興国に向かいつつある。
  • 資源国通貨中心の投資から、各国の経済や政治環境等を考慮して投資する姿勢が鮮明化。
  • 投資家の新興国通貨選別の動きは継続するとみられる。

トランプ米政権発足前に今後の利上げを見込んで米国に回帰していた資金が、再び新興国に向かっているようです。欧米の長引く金融緩和により溢れた緩和マネーは、より高い利回りを求め、債券への投資などを通じて新興国に流入しています。原油価格の上昇などを背景にこれまでの投資の対象は豊富な資源を有し、その資源を輸出することが経済活動の大きな割合を占める資源国通貨などが中心となっていました。しかし昨今では、経済や政治環境等を考慮して新興国通貨を選別して投資する動きが鮮明となりつつあるようです。

今年の7月末と比較して、対米ドルで通貨の下落が目立っているのは、米国との関係悪化や経常赤字の拡大が不安視されているトルコや、大統領の後継問題で混乱する南アフリカなどです。一方、通貨の動きが堅調であるのは、経常赤字の縮小や外貨準備高の増加等が評価されたインドやインドネシアです(グラフ1)。米大手格付け会社ムーディーズは、経済改革の進展が見込めるとし、2017年11月16日にインド国債の格付けを1段階引き上げています。相対的に高い経済成長が見込まれること等を背景に(グラフ2)、インドやインドネシアが欧米のハイイールド(低格付けの高利回り)債などから流出する資金の受け皿になっているようです。

新興国の中でも各国の状況は大きく異なっており、経済成長力や資源依存度、政策への信認度の高さ、またこれらの改善が期待できる国が投資家から選別される動きが継続していくものとみられます。

グラフ1:上昇通貨と下落通貨に分かれる

上昇通貨と下落通貨に分かれる
※主要新興国通貨の推移(対米ドル) 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

グラフ2:経済環境の改善により高成長が見込まれる

経済環境の改善により高成長が見込まれる
※各国の国内総生産(GDP)(前年比、インドは前年度比)の比較 * 2017年10月時点のIMFの予想値 出所:IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

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