金融市場NOW

日銀短観(2017年6月調査)の概要

2017年07月05日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

景況感改善 幅広く

日本銀行が7月3日に発表した2017年6月(回答期間:2017年5月31日~2017年6月30日)の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・中小企業ともに業況改善を維持し、幅広い業種で業況感の改善が進んでいる様子がうかがえました。一方で、中小企業を中心に人手不足が深刻であること、また、原材料価格や海外経済の先行きへの懸念等から、先行きに関してはなお不透明感が残るようです。以下、概要です。

  1. 大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス17となり、前回調査からの上昇幅は5ポイントで3期連続の改善(表1、グラフ1) 。2008年のリーマン・ショック以降で最高となった。海外政治への不透明感もやや和らぎ、経営者の姿勢が前向きになっているものとみられる。
  2. 大企業非製造業は、プラス23と前回から3ポイント上昇し、2期連続で改善(表1)。都市部を中心とした再開発需要や、訪日客を含めた消費の回復により建設や小売りを中心に改善となった。
  3. 中小企業にも景況感の改善が広がっている(表1、グラフ1) 。製造業DIはプラス7と、前回から2ポイント改善し、2007年3月以来の高水準。建設業や宿泊・飲食サービスの業況改善が目立つ。緩和的な資金調達環境が後押しする。
  4. 雇用人員判断DI(雇用人員「過剰」-「不足」、ポイント)は大企業全産業でマイナス16となり、1992年2月以来の水準となった。中小企業を中心に、先行きはさらに大幅な不足が見込ま れている(グラフ2)。

表1:業況判断DI(2017年6月)

(「良い」-「悪い」、ポイント)

(*1)2017年3月調査比、(*2)2017年6月(最近)比
出所:日銀短観データを基にニッセイアセットマネジメントが作成
  2017年3月調査 2017年6月調査
最近 最近 先行き
変化幅(*1) 変化幅(*2)
大企業 製造業 12 17 5 15 -2
非製造業 20 23 3 18 -5
全産業 16 20 4 16 -4
中堅企業 製造業 11 12 1 11 -1
非製造業 17 18 1 12 -6
全産業 15 16 1 11 -5
中小企業 製造業 5 7 2 6 -1
非製造業 4 7 3 2 -5
全産業 5 7 2 4 -3

グラフ1:景況感は改善傾向にあるも先行きは慎重姿勢

景況感は改善傾向にあるも先行きは慎重姿勢
※大企業および中小企業の業況判断指数の推移 ※2017年9月は2017年6月調査による先行き見通し 出所:日銀短観データを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ2:大企業・中小企業ともに人手不足が深刻に

大企業・中小企業ともに人手不足が深刻に
※大企業および中小企業の雇用人員判断DIの推移 ※2017年9月は2017年6月調査による先行き見通し 出所:日銀短観データを基にニッセイアセットマネジメント作成

【参考レポート】日銀短観(2017年3月調査)の概要(当社金融市場NOW 2017年4月5日号)

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