金融市場NOW

日銀短観(2017年3月調査)の概要

2017年04月05日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

非製造業を中心に人材不足

日本銀行が4月3日に発表した2017年3月(回答期間:2017年2月27日~2017年3月31日)の全国企業短期経済観測調査(短観)では、企業の景況感が改善した一方で、先行きにはなお慎重さがにじみ出るものとなりました。米国の新政権や欧州連合(EU)を離脱する英国などの先行き不透明感から、海外経済は依然として不安が残るようです。以下、概要です。

  1. 大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス12と、前回調査を2ポイント上回りました(表1、グラフ1)。改善は2四半期連続。世界経済の回復を背景に、自動車等の輸出企業の景況感が改善したものの、先行きには慎重な見方も多いようです。
  2. 大企業非製造業は、プラス20と前回から2ポイント改善(表1、グラフ1)しました。円安でインバウンド消費が復調していることが影響し、宿泊・飲食サービス等を中心に大幅に改善となりました。
  3. 景況感の回復は中小企業にも広がっています(表1、グラフ1)。製造業DIはプラス5と、前回から4ポイント改善し、2007年6月以来およそ10年ぶりの高水準となりました。中国の過剰在庫調整が進んだこと等を背景に、鉄鋼や金属製品などが大きく改善しました。
  4. 雇用人材判断DIは全規模全産業でマイナス25と、人材不足感は25年ぶりの高い水準となりました。非製造業で目立っており、大企業でも非製造業の不足感の方が深刻となっているようです(グラフ2)。今後3ヵ月の見通しを見ても、非製造業の中小企業の悪化幅が最も大きく、小売りや卸売業などを中心に人件費の増加に悩まされる構造がみてとれます。

表1:業況判断DI(2017年3月)

(「良い」-「悪い」、ポイント)

(*1)2016年12月調査比、(*2)2017年3月(最近)比
出所:日銀短観データを基にニッセイアセットマネジメントが作成
  2016年12月調査 2017年3月調査
最近 最近 先行き
変化幅(*1) 変化幅(*2)
大企業 製造業 10 12 2 11 -1
非製造業 18 20 2 16 -4
全産業 14 16 2 14 -2
中堅企業 製造業 6 11 5 4 -7
非製造業 16 17 1 10 -7
全産業 12 15 3 8 -7
中小企業 製造業 1 5 4 0 -5
非製造業 2 4 2 -1 -5
全産業 2 5 3 -1 -6

グラフ1:景況感の先行きに関しては慎重な見方が多い

景況感の先行きに関しては慎重な見方が多い
※大企業および中小企業の業況判断指数の推移
※2017年6月は2017年3月調査による先行き見通し
出所:日銀短観データを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ2:大企業・中小企業ともに人手不足が深刻に

大企業・中小企業ともに人手不足が深刻に
※大企業および中小企業の雇用判断指数の推移
※2017年6月は2017年3月調査による先行き見通し
出所:日銀短観データを基にニッセイアセットマネジメント作成

【参考レポート 】日銀短観(2016年12月調査)の概要(当社金融市場NOW 2016年12月26日号

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