アナリストの眼
構造転換期(2)
掲載日:2010年03月29日
- アナリスト
-
投資調査室 渡邊 亜希彦
ところで、以前、当コラムにて、”ここ数年は小売業界にとっての構造転換期”と記させて頂きましたが、2008年後半以降、その動きは着実に早まってきたと思われます。やや遅ればせながらの感もありますが、百貨店や大手スーパーなど業績不振に陥る大手小売中心に経費削減の動きが本格化してきており、構造改革に向けた第一歩として注目されます。経費構造を軽くすることで、テナント選択の自由度も高まってくるでしょう。更には同業他社との連携も含めた仕入れ構造の見直しの動きも一部では見られます。業績不振の今こそ構造改革に踏み切るチャンスであり、企業側の大胆な経営判断に期待したいところです。
一方、消費環境の厳しい中、新たな成長戦略を虎視眈々と進めている企業も存在します。 例えばこれまで郊外を主体としていたチェーンが都市部への出店を強化するなどといった動きです。従来、賃料の高さがネックで郊外中心の出店としていましたが、不動産市況の悪化や内部の仕組み強化等で都市部での収益確保を実現できる体質を整えてきている企業も出てきています。また、好調なネット販売の活用といった事例は改めて申し上げるまでもありません。
流通は今後も変化を続けていくと思いますが、企業の取り組みは、スピード感含めて各社ごとに違いがあります。引き続き、短期業績の変化を抑えつつ、中長期の方向性、企業の本質的な収益力を見極めていく調査姿勢を継続したいと考えています。
アナリストの眼
関連記事
- 2025年02月20日号
- 機械学習の手法を活用しシクリカル株に投資(前編)
- 2025年01月23日号
- 成長性を評価する定量指標(1)
- 2025年01月17日号
- 【アナリストの眼】データが導くヘルスケアのイノベーション
- 2024年12月13日号
- 【アナリストの眼】食品企業の挑戦:インフレ継続をチャンスに変えられるか
- 2024年11月18日号
- 【アナリストの眼】KDDIがローソンと挑む「ソーシャル・インパクト」は、株主の期待に応えられるか?
「アナリストの眼」ご利用にあたっての留意点
当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。
【当資料に関する留意点】
- 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
- 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
- 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
- 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
- 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。