アナリストの眼
石油危機・大恐慌に学ぶ
掲載日:2009年01月23日
- アナリスト
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投資調査室 宮林 宏
2008年前半までの資源価格急騰はオイルショックに、昨今の金融危機に端を発する景気後退は1929年の世界大恐慌によくなぞらえられます。いずれにせよ、非常事態であるという点では同じですが、では、過去のオイルショック・恐慌時の企業行動から何かを学ぶことはできるでしょうか。
資源価格の急騰時には、「資源の希少性」に注目が集まります。希少性への対応として「省資源」「資源確保」が追求される訳ですが、「資源確保」は、さらに「代替資源の拡大」「調達地域の分散」「資源開発への参画」に分けて考えることもできます。
ここで重要なのは、資源価格下落後、つまり、「資源の希少性」が後退したかに見える時期にも、「省資源」「資源確保」への対応を継続して行うことが重要だということです。 例えば、オイルショック後は、省エネ、非石油エネルギーの拡大、自前油田の開発等が継続して行われ、企業の国際競争力向上に貢献しました。現在では、省エネ、経済性を伴った形での新エネルギーの普及、油ガス田・金属権益の購入、資源リサイクル等への取り組みがあたりましょうか。
足元では、新興国による資源確保を目的とした資源開発意欲は衰えていませんし、資源国の資源囲い込みへの動きもあります。また、一部資源では、特定国への依存が極端に高い状況は相変わらずです。
経済は好不況を繰り返すという事実を踏まえるならば、将来、「資源の希少性」は必ず再燃するといっていいでしょう。従って、能力増強投資は一時的に絞っても、「省資源」「資源確保」の手綱は緩めるべきではありません。この点からは、足元で、鉄鋼・電力ガス・石油元売り・商社等が、採算性を図りながら資源確保の動きを継続していることは評価して良いと思います。
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