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2024年02月29日

寄稿記事掲載のご案内~日本経済新聞「十字路」~

日本経済新聞「十字路」に当社代表取締役社長大関洋の寄稿文『日本株最高値と景気実感の差』が掲載されました。

日本株最高値と景気実感の差

ニッセイアセットマネジメント 社長 大関 洋

ニッセイアセットマネジメント
社長 大関 洋

日経平均株価が史上最高値を更新した。1989年12月の大納会での高揚感を体験した市場参加者として、また2023年5月に本欄で多面的に日本株を買う理由が出てきていることや海外投資家の日本株への関心の高さから最高値更新もあり得ると指摘した筆者としても感慨深い。

今回触れたいのは、日本で生活する景気実感と株高のギャップについてだ。街角インタビューでも2四半期連続マイナスとなった国内総生産(GDP)成長率でも日本株が最高値を付けるほど景気がよいという実感を持つ人は少ないだろう。89年当時の好況感とは比較にすらならない。

1986年にいわゆる前川リポートが出た時の日本の課題は、日米貿易収支不均衡の解消を図り、内需拡大による経済成長を実現することだった。その後のバブルとその崩壊を経て、産業構造がデジタル中心に転換する中、日本は競争力を失い、少子高齢化で内需拡大もままならぬ、失われた30年に直面した。

足元の株高は好業績に裏打ちされてはいるが、それは内需の好調によるものではない。世界で稼ぐ力のある一部の企業が高値更新を支えている。好調な企業では継続した賃上げも比較的容易かもしれない。ただ、その波及効果が国内景気の全体の好転を実感させるまでには時間と段階を経る必要があるだろう。

新しい少額投資非課税制度(NISA)では広範なインデックス投信への流入が多いと聞く。しかしパッシブでもどの株価指数を選ぶかはアクティブな判断だ。バブル期のような全員参加型の相場は期待できないとすれば、広範なインデックス投資が有効な選択とは限らない。グローバルに稼ぎ、賃上げにも積極的で従業員が今まさに好景気を実感しているような企業への選別投資は有力な選択肢であり続けるに違いない。

(2024/2/29 日本経済新聞 夕刊)

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