メディア情報
2023年12月22日
寄稿記事掲載のご案内~日本経済新聞「十字路」~
日本経済新聞「十字路」に当社代表取締役社長大関洋の寄稿文『気候の未来をあきらめない』が掲載されました。
気候の未来をあきらめない

ニッセイアセットマネジメント
社長 大関 洋
初めて中東を訪ねた。第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)に参加するためだ。昼間のドバイは12月でも日差しは強く、暑い。太陽光発電の発電コストがオーストラリアの半分だという。議長国のアラブ首長国連邦(UAE)は産油国でありながら再生可能エネルギーへのシフトに意欲的だ。
COP28では2030年までに再生可能エネルギーを3倍にする合意に加え、前回設立した「損失と損害」救済基金の運用化が進んだ。これは議長国UAEが率先して1億ドルの資金拠出をコミットしたことが大きい。また会期を延長して合意された化石燃料からの転換の加速については、産油国でもある議長国の粘り強い交渉のたまものだろう。
もちろん課題も多い。今回の大きなテーマであるグローバル・ストックテイク(1.5度目標に対する現状と課題の棚卸し)も行われ、現在の取り組みでは1.5度目標に届かないことがコンセンサスとなった。
この認識のもと、データ、アクション、ファイナンスの3つのギャップをテーマとした議論も多く行われた。データでは、気候変動関連のデータの信頼性向上やカバー範囲の広がりが必要とされた。アクションでは、ネットゼロにコミットした国や企業の実際の行動が促されるよう、投資家によるエンゲージメントや適切なカーボンプライシングの重要性が挙がった。ファイナンスでは、脱炭素に必要とされる資金と投融資の間には依然隔たりがあり、多くの資金導入のためには公的セクターが関与したフレームワークの必要性が指摘された。
厳しい現状を認識しながらギャップ解消に向けた努力を世界中の国々で積み上げる。未来をあきらめない「UNITE. ACT. DELIVER.」という今回のCOPのスローガンを実践する姿を見た気がする。
(2023/12/22 日本経済新聞 夕刊)
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