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2023年09月29日
寄稿記事掲載のご案内~日本経済新聞「十字路」~
日本経済新聞「十字路」に当社代表取締役社長大関洋の寄稿文『円安と闘わず 活用する視点を』が掲載されました。
円安と闘わず 活用する視点を

ニッセイアセットマネジメント
社長 大関 洋
為替相場はいくつかの尺度で1980年代以来の歴史的な円安水準にあるが、当時とは日米の産業構造が変化し、円安・ドル高が長期化する可能性があると本欄で触れたのが2022年6月末。その時の円は136円だった。それから1年以上経ったが、基本的な認識に変わりはない。
円安長期化の理由のひとつは産業に占めるデジタルの役割が大きくなり、この分野の収支で米国が日本を圧倒していることだ。ドル高で円ベースの価格が高くなったからといって、容易にサービス提供先を変えることはできない。彼我の差が大きく、出費が増えても抑えられない領域が出来てしまっている。
2つめは、電気機器での黒字が大幅に減少し、モノ作りの領域で安定して黒字を獲得している産業は自動車と一般機械だけになっていることだ。外貨獲得に貢献する産業が狭くなりつつある中で、自動車産業で予期される構造変化は日本の外貨獲得力の懸念要因である。
3つめはこのような構造変化もあり、ドル高・円安の反転を望む米国関係者が見当たらないことである。80年代にみられた、円安で強くなりすぎた日本企業をけん制する議論はみられない。米国が動く理由は乏しいとみられる。
4つめは少し視点が変わるが、歴史的な円安水準は果たして問題なのかという観点だ。急激な為替変動は確かに問題であろう。しかし緩やかな円安水準の継続は、日本が長年掲げているデフレ脱却、インフレ目標の実現には好ましい動きであるとも言える。
上昇する電気料金やガソリン価格の激変緩和などは必要かもしれないが、適度な物価上昇は投資を促進し、企業を成長に仕向ける効果もある。円安と闘うのではなく、有効に活用し、成長と分配の好循環につなげる視点が必要なのではないだろうか。
(2023/9/29 日本経済新聞 夕刊)
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