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2023年08月31日

寄稿記事掲載のご案内~日本経済新聞「十字路」~

日本経済新聞「十字路」に当社代表取締役社長大関洋の寄稿文『利上げ局面 死命を制す選別』が掲載されました。

利上げ局面 死命を制す選別

ニッセイアセットマネジメント 社長 大関 洋

ニッセイアセットマネジメント
社長 大関 洋

金融市場に「コナンドラム(謎)」という言葉が登場したのは2005年2月。当時、米連邦準備理事会(FRB)議長だったグリーンスパン氏は、政策金利の利上げを続けていたにもかかわらず、長期金利が想定よりも上がらず、むしろ低下に転じた状況を「謎」と評した。

23年の年初時点での大方の市場予想は「急激な利上げの影響で株式市場は上がらず、景気後退に入る。問題はハードランディングするのか、それを避けてソフトランディングにできるかどうかだ」というものだった。足元までの実際の株価は想定以上に堅調に推移し、景気後退にも至らないのではとの見方まで出てきている。過去1年半で11回、5%を超える幅でFRBが利上げしたことを考えれば「謎」と戸惑う投資家もいるだろう。

しかし、米政策金利がほぼゼロから5%超の水準まで引き上げられた効果は、タイムラグはあっても、必ず市場に影響するというのも歴史の示すところである。

資金コストが上がった場合の原理原則は、薄いマージンで高いレバレッジをかけた戦略の投資や事業が一番影響を受けるということだ。不動産投資でもクレジット投資でも株式投資でも、金利コストが低い時は市場全般と個別の差が出ない。むしろ前述の戦略の方が成果は良く見える。資金コスト上昇時はそうした戦略の違いが天国と地獄を分けると言っても過言ではない。個別案件の見極めが死命を制する。

グリーンスパン氏が「謎」と評してから世界金融危機が本格化するまで3年のラグがあった。今回、危機が来ると思っているわけではないが、これだけの利上げはラグがあっても市場に影響を与える。その過渡期をいかに過ごすかも投資家として生き残るためには必要な知恵である。

(2023/8/31 日本経済新聞 夕刊)

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