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2023年03月17日

寄稿記事掲載のご案内~日本経済新聞「十字路」~

日本経済新聞「十字路」に当社代表取締役社長大関洋の寄稿文『歴史は繰り返さないが、韻を踏む』が掲載されました。

歴史は繰り返さないが、韻を踏む

ニッセイアセットマネジメント 社長 大関 洋

ニッセイアセットマネジメント
社長 大関 洋

「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」という言葉を思い出している。作家マーク・トウェインの言葉とされている。

10日にベンチャー企業を顧客とする米シリコンバレーバンク(SVB)が破綻した。2022年末時点の総資産は約28兆円。08年の金融危機時に破綻したワシントン・ミューチュアルに次ぐ、米銀では過去2番目の規模の破綻が短期間で起きたことが人々を驚かせた。12日には暗号資産(仮想通貨)関連企業を顧客に持つシグネチャー・バンクも破綻。史上3番目の規模の破綻だ。

当局の対応は早かった。財務省などは12日、預金保険の対象外の預金も含め預金全額を保護する例外措置を発表。金融不安の連鎖を止める狙いだ。市場は米連邦準備理事会(FRB)の引き締めは一旦遠のいたとみて米金利は短期を中心に低下、為替はドル安に振れ、株価は不安定な動きが続く。

SVB破綻は短期の預金調達に対して投資していた長期の米国債等が金利上昇で含み損となり財務が不安視された結果、短期間に大量の預金流出を招き業務停止に至ったといわれている。

現代にそんな原因で破綻する銀行があるのかと疑うほどの古典的な銀行破綻の過程だ。金利上昇を契機とした金融不安は1980年代の第1次S&L危機が有名だ。ALM(資産負債管理)が流布して以降、94年のモーゲージ投資の巨額損失はあっても破綻する銀行は少なかった。金利リスク管理の強化後の金融危機のほとんどはクレジット危機であり、金融機関も当局も信用リスク管理に努める中、今回、先祖返りのように金利リスクによる破綻が起きた。

共通するのは危機はブームが起きて大量の資金が集まった場所で起こることだ。論じるには早いがブーム崩壊後は新たな投資機会が生じるというのも歴史の教訓である。

(2023/3/17 日本経済新聞 夕刊)

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