金融市場NOW

米国 州単位での取り組みが広がる気候変動対策

2021年08月30日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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米国政府による気候変動対策を含む歳出法案成立が期待される

  • 米国政府による気候変動対策を含む歳出法案成立まで紆余曲折が想定される中、州単位では着々と気候変動対策への取り組みが進んでいる。
  • 人為的な地球温暖化の影響が懸念される中、米国政府による気候変動対策への取り組みに期待が集まる。

3.5兆ドル規模の歳出法案は依然不透明

米国議会は、2022会計年度(21年10月~22年9月)予算の大枠となる予算決議案を可決しました。これを受けて予算決議に沿った関連法案の審議が進められることになります。中でも3.5兆ドル規模の歳出法案が注目されています。法案には、気候変動対策などが組み込まれる計画であるものの、金額や歳出項目を巡り、与党議員からも見直しを求める声があがり、法案成立まで紆余曲折が想定されます。

バイデン政権の成長戦略の一つとされる気候変動対策ですが、トランプ前政権ではパリ協定を離脱するなど、欧州諸国と比較して遅れをとっており、米国政府としての本格的な取り組みはこれからという段階にあります。一方、州レベルでは、政府に先んじて気候変動対策が進められています。

約半数の州で気候変動対策に取り組む

全米の半数近くの州が、温室効果ガス排出量の削減や再生可能エネルギー関連の開発、代替燃料(ガソリン以外の燃料)車の普及、エネルギー効率の良い建物の普及など州単位での取り組みを積極化しています。また約10州では、カーボンプライシング(炭素の値付け)によるキャップ・アンド・トレード制度が導入されています。企業に温室効果ガスの排出枠(キャップ)を設け、排出枠の余剰や不足部分を取引(トレード)できる仕組みです。排出を規制するだけでなく、取引により排出削減に向けた企業努力が利益に繋がる制度となっています。

カリフォルニア州は、2006年「カリフォルニア地球温暖化解決策法」を制定し、気候変動スコーピング計画(図表1)を作成しました。同計画は少なくとも5年に一度改訂され、2030年までに再生可能エネルギー比率50%達成などの目標が掲げられています。計画では必要な政策などが推奨され、それを基に各規制やプログラムが制定されています。

図表1:気候変動スコーピング計画の概要

推奨政策

  • 2030年までに再生可能エネルギー・汚染削減法に規定された政策への取り組み
    • 2030年までに再生可能エネルギー比率を50%とし、送電網の信頼性を確保。
  • 持続可能な貨物行動計画への取り組み
    • 2030年までに、炭素排出ゼロ走行が可能な貨物自動車・装置数を10万台以上に。電動に近い貨物自動車と装置の数を最大化。
  • 自動車由来の排出削減戦略への取り組み
    • 2025年までに、小型車における電気自動車などの新車販売台数を150万台以上へ。
  • 2020年以降のキャップ・アンド・トレード制度により年間排出枠を逓減。

出所:各種報道資料をもとにニッセイアセットマネジメントが作成

「地球温暖化の原因は人間」に疑いの余地なし

9日国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は8年ぶりとなる第6次評価報告書(図表2)を公表しました。報告書は、「人間が地球を温暖化させてきたことに疑いの余地はなく、人為的な気候変動が世界中の全ての地域で熱波や大雨、干ばつなどの極端な現象に影響を及ぼしている。」としています。

度々、大規模な山火事などの被害を受けるカリフォルニア州を始め、米国の州単位では気候変動対策が進んでいます。また欧州政府や世界各国の企業や自治体など各レベルでも着々と進展がみられます。歳出額の規模や気候変動そのものに懐疑的な見方を示す一部議員の声があるなど紆余曲折が想定されるものの、米国政府は早期に歳出法案を成立させ気候変動対策に取り組むことが期待されます。

図表2:IPCC 第6次評価報告(政策決定者向け)概要

  • 人間が大気、海洋及び陸地を温暖化させてきたことは疑いの余地がない。雪氷圏及び生物圏において広範囲かつ急速な変化が現れている。
  • 世界平均気温は想定する温室効果ガス排出シナリオでは少なくとも今世紀半ばまで上昇し続ける。大幅な排出削減がない限り、21世紀中に気温上昇は1.5及び2℃を超える。
  • 気候変動は、極端な高温、海洋熱波、大雨や干ばつなどの頻度を上げ、強力な熱帯低気圧の発生や北極地域の海氷、積雪・永久凍土の縮小を引き起こす。

出所:各種報道資料をもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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