金融市場NOW

米政権 超党派によるインフラ投資法案に合意

2021年06月30日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

民主党リベラル派は気候変動対策が不十分との姿勢

  • 与野党協議が決裂した米インフラ投資法案は、超党派から示された代替案においてバイデン政権と合意。対象は伝統的なインフラ投資中心に絞りこまれ、投資額の規模は当初より縮小。
  • 民主党内には気候変動対策を含む追加法案を求める声があるが、更なる財政支出に共和党は反対の立場。

与野党協議決裂

米バイデン政権が4月に発表した総額4兆ドル規模のインフラ投資を柱とする成長戦略<米国雇用計画・米国家族計画>(表1) の実現に向けて、米国議会では法案の審議に向けた動きが加速しています。

コロナ禍対応の巨額の財政出動で、2021年会計年度(2020年10月~2021年9月)の財政赤字は国内総生産(GDP)比で14%に達すると見られています。共和党(野党)議員を中心に、財政赤字の拡大や支出の財源を企業等への増税で賄うとの政権の意向に反対の声が上がり、バイデン大統領は増税による財源確保を撤回しました。

政権側から計画の規模を縮小する提案があったものの、共和党から老朽化した道路や橋などの伝統的なインフラへの投資は支持するが、教育支援や気候変動対策などはインフラ投資に該当しないと支持が得られず、与野党の協議は決裂しました。

表1:バイデン政権成長戦略(4月発表時)

  • 出所:各種報道資料等をもとにニッセイアセットマネジメントが作成
主な項目 金額
米国雇用計画 合計2.3兆ドル
道路・橋・電気自動車充電設備の設置等 6,210億ドル
再生可能エネルギー電力供給網整備 1,000億ドル
電気自動車普及への補助金・税制優遇 1,740億ドル
米国家族計画 合計1.8兆ドル
無償教育拡充 3,090億ドル
保育支援拡充 2,250億ドル

超党派による代替案で合意

与野党協議が決裂する中、上院議員21名(民主党10名、共和党11名)による超党派グループから約1.2兆ドルの代替案が提示され、6月24日バイデン政権もこれに合意しました。代替案は新たな支出を当初5年間で5,790億ドル(表2)に抑え、コロナ禍対応の景気刺激策で予算未消化分等を利用し、残りの6,300億ドルを8年間にわたりインフラ投資予算として計上するというものです。

超党派代替案の合意により法案可決の可能性は高まりましたが、当初の4兆ドル規模の支出額から大幅に減額、教育支援などが除かれ、橋、道路といった伝統的なインフラのみに投資対象が絞り込まれたことへ民主党内から反対の声が上がっています。電気自動車向け充電設備の整備は、予算対象に含まれましたが、その他の気候変動対策向け投資が不十分とけん制する声が上がっています。

表2:超党派による代替案で合意

  • 出所:各種報道資料等をもとにニッセイアセットマネジメントが作成
主な項目 金額
道路・橋梁整備 1,090億ドル
電気自動車充電設備の設置 75億ドル
公共交通網の整備 490億ドル
鉄道網整備 660億ドル
水道インフラの整備 550億ドル
高速通信網の整備 650億ドル
その他 2,275憶ドル
合計 5,790億ドル

リベラル派は気候変動対策などを重視

民主党リベラル派からは、気候変動対策や教育支援などの弱者救済策を含む追加法案を求める声が上がっています。バイデン大統領はリベラル派の姿勢に賛成の立場を示していることから、民主党単独で追加法案を可決(時限立法)させるとの見方も出てきています。追加法案が提出されるならば、更なる財政支出に反対の立場の一部共和党議員が、超党派法案に反対する可能性も囁かれています。

両党の思惑の違いから、法案成立まで紆余曲折が予想されます。民主党リベラル派が推し進める弱者救済策や、今や世界的な重要課題と言える気候変動対策は、バイデン政権の重要法案成立のためのキーとなるものと思われます。

金融市場動向一覧へ

「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。