金融市場NOW

気候変動関連指数 欧州株に出遅れ感

2021年05月19日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

バリュー株色が強い欧州気候変動関連銘柄

  • バイデン政権誕生により、気候変動サミットが米国で開催されるなど、気候変動が経済や企業活動に与えるリスクが注目され、重要な投資テーマの1つとなっている。
  • バリュー株色が強い欧州気候変動関連銘柄は、米国に比べ出遅れ感があり、今後の資金流入が期待される。

気候変動は重要な投資テーマに

グラフ1:気候変動インデックスの推移

  • ※2018年12月3日を100として指数化
  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

米国でバイデン政権が誕生し、気候変動サミットを開催するなど気候変動問題に取り組む姿勢が鮮明になりつつあります。気候変動が経済や企業活動に与えるリスクが注目され、重要な投資テーマの一つと見られています。市場では、気候変動に適応できるもしくは気候変動によりビジネス機会が生まれる企業(気候変動関連銘柄)への投資には妙味があるとみられています。

気候変動関連銘柄で構成される気候変動インデックスは、世界株式インデックスを5%程度アウトパフォームしています(グラフ1)。世界的に取り組みが進む気候変動問題に関連する銘柄に資金が流入していることを示す結果と言えます。

欧州気候変動関連銘柄に出遅れ感

グラフ2:米国・欧州の気候変動インデックス比較

  • ※2018年12月3日を100として指数化
  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

気候変動関連銘柄を米国と欧州で比較してみると、パリ協定(気候変動抑制を目的とした国際協定)の実施指針が採択された2018年12月初より欧州は約40%上昇しているものの、約60%上昇している米国に比べ、出遅れ感があるものと思われます(グラフ2)。

バリュー株色が強い欧州気候変動関連銘柄

想定される理由として、トランプ前政権下での減税政策などによる米国企業の好業績を受けて米国株が欧州株をやや上回って推移したという背景があります。加えて米国の気候変動関連銘柄は、IT関連や通信サービスなどが4割程度を占めているのに対して、欧州では金融、生活必需品などの比率が高くなっています。米国の気候変動関連銘柄は、コロナ禍の影響を受けにくかった、もしくはコロナ下で業績を伸ばしたIT関連などグロース株(成長株)色が強いのに対して、欧州は比較的コロナ禍の影響を受けやすい金融、一般消費材などバリュー株(企業価値に対し割安に放置されている株)色が強いことが、欧州気候変動関連銘柄の出遅れに繋がっているものと思われます。

欧州気候変動関連銘柄に資金流入期待

独仏など欧州でワクチン普及が加速し、4月のユーロ圏景況感は全業種で改善し、市場予想を上回るなど、本格的な景気回復へ期待が高まっています。欧州では金融当局が金融政策を決定する際に、いち早く気候変動を考慮する必要があるとの姿勢を示すなど、気候変動問題への関心が他の国や地域と比較しても高いと見られています。米国のインフレ懸念やワクチン接種の進展による経済活動正常化への期待を受けて物色の対象がグロース株からバリュー株へと向かいつつあるとみられる中、米国と比較してバリュー株色が強く、投資テーマとして注目されている欧州の気候変動関連銘柄に資金が流入することが想定されます。

金融市場動向一覧へ

「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。