金融市場NOW

2020年米大統領選(10)
米大統領選 バイデン氏優勢も決着つかず

2020年11月05日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

集計結果を巡りトランプ陣営は徹底抗戦の構え

  • 米大統領選は、事前の予想通り投開票日に大勢が判明せず集計作業が進む。中西部の激戦州の勝利でバイデン氏勝利の可能性が高まるも、トランプ氏は再集計などを求めて提訴するなど徹底抗戦の構え。
  • 議会は“ねじれ”状態が継続することが想定され、追加経済対策の早期成立が遠のく可能性高まる。

大勢を決するのは5州の結果次第

3日の米国大統領・上下院選挙は、事前の予想どおり投開票当日には大勢が判明しませんでした。新型コロナウイルス感染拡大を警戒し、多くの有権者が期日前投票や郵便投票を利用したことから集計が遅れ、激戦州での結果判明に時間がかかっている模様です。

4日(東部時間23時現在)、バイデン氏が250名程度の選挙人確保と報道されており過半数(270)に近付いています(表1)。まだ大勢が判明していないノースカロライナ州、ジョージア州、ペンシルベニア州、ネバダ州、アリゾナ州で集計が行われていますが、アリゾナ州やネバダ州でも優勢が伝えられており、この2州でバイデン氏が勝利すれば、過半数を獲得することとなります(表2)。

表1:議席等の獲得状況

  • ※4日東部時間23時時点
  • 出所:CNNデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成
  民主党 共和党 残り 過半数
大統領選挙人 253 213 72 270
上院(改選35議席) 47 47 6 51
下院(全議席改選) 199 184 52 218

表2:激戦州での得票率

  • ※4日東部時間23時時点
  • ミシガン州、ウィスコンシン州では大勢判明
  • 出所:CNNデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成
州名 選挙人数 バイデン トランプ
ペンシルベニア州 20 48.1% 50.7%
ジョージア州 16 49.1% 49.7%
ノースカロライナ州 15 48.6% 50.1%
アリゾナ州 11 50.7% 47.9%
ネバダ州 6 49.3% 48.7%
ミシガン州 16 49.4% 48.8%
ウィスコンシン州 10 50.4% 48.0%

トランプ陣営は徹底抗戦の構え

ラストベルト(さびた工業地帯)と呼ばれる中西部のミシガン州、ウィスコンシン州では接戦の末、バイデン氏が勝利を確実にしました(表2)。開票直後はトランプ氏が優勢となっていましたが、郵便投票や期日前投票の集計が進むにつれてバイデン氏が優勢へと転じました。これに対し、トランプ陣営は投票、集計での不正行為や監視体制に不備があったとし、ウィスコンシン州で再集計、ミシガン州での開票差し止めを求めて提訴しました。また、3日消印の郵便投票が6日到着分まで有効とされ、集計作業中のペンシルベニア州で集計停止などの提訴の動きがあります。ジョージア州など結果が判明していない州でも票の再集計を求める提訴の動きも報道されています。

トランプ陣営は集計が進む中で、一方的に勝利宣言を行っており、郵便投票の正当性へ疑義を呈する姿勢を示しています。どちらかの陣営が選挙結果を受け入れて、敗北宣言をしなければ勝者が確定しません。トランプ陣営の徹底抗戦により、選挙結果を巡る法廷闘争による勝者確定に時間を要する可能性が高まっています。

議会は“ねじれ”継続か

大統領選と同時に行われた上下院選は、上院は定数100議席中、共和党が最終的に51議席を確保し、多数派を維持するとの見方が大勢を占めています(表1)。一方で事前の予想でも民主党優勢が伝えられていた下院は、民主党が220議席以上を獲得し多数派を維持する模様です。上下院で多数派政党が分かれる“ねじれ”議会が継続するものと思われます。難航する追加経済対策の早期成立が遠のき、民主党が想定する多額の財政出動が抑制されるとの見方もあり、財政面での負担は、民主党が大統領・上下院選全勝のケースより軽減されると見られています。一方で、バイデン氏の公約である増税策は議会で可決が困難となることが想定されます。年末にかけ大統領選結果を巡る法廷闘争など政局をめぐる動向を注視していく必要がありそうです。

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