金融市場NOW

感染再拡大 欧州の金融市場へ波及

2020年10月27日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

感染再拡大による域内景気の先行き不透明感は根強い

  • 9月以降、欧州で新型コロナウイルスの感染が再拡大。ロックダウンなどの経済活動の再制限が、今後の域内景気回復ペースを鈍化させる可能性も。
  • 感染再拡大の影響は欧州金融市場へ波及。当面、欧州の金利は低下基調、為替も対円で下落基調をたどるものと予想される。

欧州で感染が再拡大、新規感染者数が急増

9月以降、欧州の主要国で新型コロナウイルスの感染が再拡大しています。足元の欧州全体の1日当たり新規感染者数は約15万人と、第1波のピーク時のおよそ4倍となっています。また10月に入り、外出制限措置や医療体制の強化などの迅速な対応で、国内の感染者数を抑えることに成功していたとみられたドイツでの感染者数の増加が目立ちます。ドイツの1日当たり新規感染者数は増加を続けており、1万人に迫る勢いとなっています。

今後は景気回復ペースの鈍化が予想される

グラフ1:経済活動の再開で景況感は改善傾向にある

  • ※ユーロ圏景況感指数の推移
  • 出所:Eurostatのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

5月以降、欧州で経済活動が段階的に再開されたことから、ユーロ圏の景況感は改善傾向にあります(グラフ1)。しかし今後は、ロックダウン(都市封鎖)や外出制限などの感染再拡大を抑制するためのさまざまな制限が、域内景気の回復ペースを鈍化させることも予想されます。

長期金利は低下、ユーロも下落基調となる

感染急拡大は、欧州の金融市場にも影響を与え始めているようです。

経済活動再開による景気の早期回復期待などから、今夏の欧州の長期金利(10年国債利回り)は緩やかな上昇傾向にありました。しかし9月以降は、経済活動の再停滞懸念などから金利は低下し(グラフ2)、ユーロも対円で下落基調となっています(グラフ3)。景気回復ペースの鈍化懸念を受け、欧州中央銀行による追加金融緩和期待などが、欧州長期金利の上昇を抑える要因となるとみられます。当面、欧州の金利は低下基調、為替も対円で下落基調をたどるものと予想されます。

グラフ2:ドイツ、フランスの10年国債利回りは低下

  • ※ドイツ、フランスの10年国債利回り推移
  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ3:経済活動の制限強化などからユーロが下落

  • ※ユーロ(対円)の推移
  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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