金融市場NOW

ユーロ圏では感染第二波を背景に景況感が悪化

2020年09月30日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

産業構造の違いにより、ユーロ圏主要国でも景況感に差

  • ユーロ圏の製造業PMIは新規受注が好調で改善した一方で、サービス業PMIは感染第二波による経済活動の再停滞懸念などを背景に低下した。
  • サービス業を中心に景気が低迷し、ユーロ圏の本格的な景況感改善には時間を要するとみられる。

製造業PMIは改善、サービス業PMIは悪化

グラフ1:製造業PMIは改善、サービス業PMIは悪化

  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

IHSマークイットが9月23日に発表した9月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数)は50.1と好不況の境目である50を維持したものの、前月の51.9から悪化しました。製造業PMIは53.7と前月の51.7から改善しましたが、サービス業PMIが47.6と前月の50.5から悪化しています。製造業は新規受注が好調で回復傾向ですが、サービス業は感染第二波による経済活動の再停滞懸念などを背景に低下したようです(グラフ1)。

ユーロ圏の主要国でも景況感に差

グラフ2:ユーロ圏の主要国でも景況感に差

  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

ドイツ総合PMIは53.7と50を維持しましたが、フランス総合PMIは48.5(前月51.6)と50を割り込みました。イタリアやスペインでは既に8月の総合PMIにおいて50を割り込んでいます(グラフ2)。

景況感に表れる産業構造の違い

ドイツの総合PMIが50を維持しているのに対し、フランス、イタリア、スペインが50割れとなっている背景に、産業構造の違いが挙げられます。対面での対応が中心となるサービス業より感染再拡大の影響が相対的に少ないと言われる製造業ですが、GDP(国内総生産)に占める製造業の割合がドイツで20%台前半と、イタリア(10%台半ば)やフランス、スペイン(10%前半)に比して高いことが、PMIの差異の要因と考えられます。フランス、スペイン、イタリアでは、感染第二波による観光業の低迷により、景況感の落ち込みが相対的に大きくなっているものと考えられます。

本格的な景況感改善には時間を要するとみられる

グラフ3:フランス、スペイン中心に感染再拡大

  • ※欧州主要国の新型コロナウイルス新規感染者数(7日移動平均)の推移
  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

欧州では7月以降、新型コロナウイルスの新規感染者数が再拡大傾向です(グラフ3)。特にフランス、スペインの増加が顕著となっており、外出制限などの規制の再強化が実施されています。製造業は引き続き、需要回復などを背景に緩やかな持ち直しが見込まれますが、感染再拡大から観光業をはじめとするサービス業が低迷することで、ユーロ圏の本格的な景況感改善には時間を要しそうです。

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