金融市場NOW

日本の雇用情勢は今後更なる悪化の可能性

2020年09月07日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

有効求人倍率は2014年以来の低水準

  • 有効求人倍率は7ヵ月連続低下し、およそ6年ぶりの低水準。新型コロナウイルス感染拡大を背景に企業の採用意欲は低下。
  • 失業率の悪化は小幅にとどまるも先行きは不透明。今後、新型コロナウイルスの影響が長期化した場合、失業率の更なる上昇につながる可能性も。

有効求人倍率はおよそ6年ぶりの低水準

グラフ1:有効求人倍率 はおよそ6年ぶりの低水準

  • * 求職者1人あたり何件の求人があるかを示す。
  • 出所:総務省統計局のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

厚生労働省が9月1日に公表した2020年7月の有効求人倍率* (季節調整値)は前月比0.03ポイント低下の1.08倍となり、7ヵ月連続の低下でおよそ6年ぶりの低水準となりました(グラフ1)。企業からの有効求人数(前月比プラス2.5%)、勤労意欲のある有効求職者数(前月比プラス6.0%)ともに増加しましたが、有効求職者数の増加幅が上回ったことから有効求人倍率の低下につながりました。

新規求人数が再び減少に転じる

グラフ2:新規求人数が再び減少

  • * 新規求人数は2020年7月まで
  • 出所:総務省統計局のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

景気の先行指標として注目される新規求人数(季節調整値)は、7月は前月比マイナス4.9%となりました(グラフ2)。経済活動正常化の動きにより新規求人数は5月から2カ月連続で改善してきましたが、足元では減少に転じています。新型コロナウイルス新規感染者数が再び増加していることを背景に今後の雇用情勢が厳しくなることも予想されます。

今後、失業率が一段と悪化する可能性も

グラフ3:失業率の推移

  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

総務省が9月1日に公表した7月の失業率は前月比0.1ポイント上昇の2.9%と小幅に悪化しました(グラフ3)。

新型コロナウイルスの感染拡大によって採用の抑制はみられるものの、労働者の解雇は一部に留まっているようです。しかしながら、新型コロナウイルスの影響が長期化し、企業業績の低迷が続けば企業が雇用を維持できず、非正規労働者等を雇い止めするなど、失業率の更なる悪化が見込まれます。

2008年のリーマンショック時には失業率が1.7ポイント悪化しました。新型コロナウイルスの影響から経済活動の回復が遅れる場合には、失業率が今後さらに上昇することも考えられます。

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