金融市場NOW

新型コロナウイルスの流行と個人の消費変化

2020年05月07日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

衛生用品の販売額は急増、衣料品などの販売額は減少

  • 政府の外出自粛要請を受けた企業の在宅勤務の推進などから、人々が自宅で過ごす時間が増加。
  • 消費動態調査にも人々の消費行動の変化が現れる。衛生用品などの販売額が一時的に増加。
  • 緊急事態宣言の延長から外出自粛要請は継続見込み。消費者心理はさらなる悪化の可能性も。

感染の拡大を受け個人の消費行動に変化

グラフ1:国内における感染者数は3月下旬より急増

  • ※国内における新型コロナウイルス感染者数の推移
  • 出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

新型コロナウイルスの感染拡大抑制のため、政府は4月16日、緊急事態宣言の対象を全国に拡大し、すべての国民に対し不要不急の外出自粛要請を呼びかけました(グラフ1)。政府の要請を受け、東京都が『STAY HOME週間』を掲げるなど各県でも在宅を促したことから、これまで以上に人々が自宅で過ごす時間が増えたため、人々の消費行動にも変化が現れはじめていると考えられます。

衛生用品や日用品の販売額が大幅に増加

グラフ2:ドラッグストアの販売額の伸びが顕著

  • ※業種別商業販売額(前年同月比)の推移
  • 出所:経済産業省のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成s

経済産業省が公表する消費動態調査によると、ドラッグストアの2月の販売額が大幅増加し、消費増税前の駆け込み消費に迫る伸びとなっています(グラフ2)。品目別では、ベビー・介護用品などのヘルスケア用品が前年同月比+46.9%、家庭用品・日用消耗品・ペット用品が同+30.8%となりました。感染予防意識の高まりや外出自粛の動きから、マスクやハンドソープ、洗剤などの購入が一時的に増えたと考えられます。一方、外出自粛による入店者数の大幅減少が大きく影響した百貨店の販売額は同-11.8%となりました。なかでも外出機会の減少から衣料品が同-16.3%となり、特に販売額の減少が目立ちました。

消費者心理はさらなる悪化の可能性も

グラフ3:消費者心理は急速に悪化している

  • ※一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)の推移
  • 出所:内閣府のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

長期化する外出自粛などから消費者心理は大きく低迷しています。消費者の今後の消費に関する見通しを指数化した消費者態度指数は大幅に低下し、4月は過去最低となりました(グラフ3)。リーマンショックや東日本大震災の際と同様に概ね6ヵ月から1年程で消費者心理の回復が期待できるとすれば、今後早期に新規感染者数の拡大が抑制されることで、年末から来年初にかけて回復が期待できます。しかし足元では感染拡大に終息の兆しはみられず、政府が緊急事態宣言を延長したこともあり、消費者心理はさらに悪化する可能性が高いものと思われます。

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