金融市場NOW

2020年米大統領選(4)
バイデン氏 大票田フロリダ州で勝利

2020年03月19日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

ミシガン州での勝利に続き3州で勝利

  • 大票田のフロリダ州を含む3州での予備選はバイデン氏が全勝。7月の民主党大会で大統領候補に指名される可能性が高まる。バイデン氏は副大統領候補に女性を指名することを公表。
  • 新型コロナウイルスの世界的感染拡大の中で、経験豊富で安定感のあるバイデン氏の支持率が上昇。

バイデン氏3州予備選で全勝

17日、事実上の一騎打ちとなっている民主党予備選が、大票田であるフロリダ州を含む3州で行われ、バイデン氏が全勝しました。大統領本選でも激戦が予想され常に結果が注目されるオハイオ州予備選は新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し延期されました。大統領本選で勝敗を左右すると言われる10日の中西部ミシガン州での勝利に続き、3州で勝利したことにより、バイデン氏が7月の党大会で民主党の大統領候補者として指名される可能性が一段と高まりました。党幹部がサンダース氏に撤退を促すことも想定されます。

表1:主な州の予備選暫定結果

  • 出所:各種報道資料等をもとにニッセイアセットマネジメントが作成
候補者名 政策スタイル フロリダ州結果(17日) ミシガン州結果(10日)
得票率 代議員獲得数 得票率 代議員獲得数
バイデン 中道派 61.9% 156人 52.9% 72人
サンダース 左派 22.8% 63人 36.4% 49人

新型コロナウイルス感染拡大も影響か

グラフ1:主な候補者の代議員累計獲得数(暫定結果)

  • ※代議員の獲得数(過半数1990)が多い候補者が民主党候補者に指名
    代議員累計獲得数は日本時間3/19 8:00時点での暫定結果による
  • 出所:各種報道資料等をもとにニッセイアセットマネジメントが作成

サンダース氏は「革命」をキャッチフレーズとし左派的な公約を掲げて、若者を中心に支持を集めてきました。しかし新型コロナウイルスの感染拡大という国家的な緊急事態に直面する今、大きく制度を変える急進的(左派的)な政策を掲げるサンダース氏よりも、オバマ政権で副大統領を歴任するなど経験豊富で、安定感のあるバイデン氏が支持されたことが想定されます。

バイデン氏は女性副大統領を起用の考え

15日の討論会でバイデン氏は、女性副大統領を起用することを公表しました。これは2008年の共和党ペイリン氏以来の指名(本選でマケイン候補落選のため副大統領には就任できず)となります。副大統領に女性を選ぶことは“開かれた民主党”を有権者に示す一助となると思われます。現地メディアでは、大統領選を撤退したクロブチャー氏、ハリス氏などが候補としてリストアップされているようです。また戦略的に勝敗を左右する地域出身の副大統領候補を選ぶことで、同地域の支持を獲得することも重要とされます。2016年大統領選で敗北したクリントン氏は、副大統領候補に勝敗を左右した中西部の出身者を指名しなかったことが敗因の一つとされています。今後バイデン氏が誰を副大統領候補に指名するのかにも注目が集まるところです。

危機対応ではトランプ氏よりバイデン氏?

バイデン氏は、サンダース氏などが掲げる左派的な政策にも理解を示しており、左派候補の支持者を取り込むことで、党一丸となってトランプ大統領と戦うことを求めています。これは敗北した候補の支持者の声にも耳を傾けて党の結束を図り、2004年大統領選で勝利したオバマ前大統領の選挙戦術に倣っていると思われます。世界的感染拡大による景気減速懸念から、株価が大幅に下落する中、直近の調査ではトランプ大統領の危機対応に国民の6割が不満を示しており、支持率でバイデン氏がトランプ大統領をリードし、差を広げる傾向にあります。非常事態で国内が混乱し民主党を支持する機運が高まる中、民主党は勝利に向けて一致団結できるのかに注目が集まります。

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