金融市場NOW

物価上昇 足取り鈍く

2019年04月25日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

年度ベース 10年連続1.0%割れ

  • 総務省が発表した3月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年同月比で0.8%の上昇となり、2月からやや上昇。
  • 2018年度平均のコアCPIは前年度比0.8%の上昇となるも、1.0%を下回る。
  • 今後は食料品の動向がカギとなるか。値上げは消費意欲の減退を招くことが多く企業は慎重姿勢も。

2019年3月の消費者物価について

4月19日に総務省が発表した2019年3月のコアCPIは、前年同月比で0.8%の上昇となりました。2月の同0.7%上昇からプラス幅はやや拡大となったものの、1.0%を下回る状況が続いています。

2018年度の消費者物価について

グラフ1:物価上昇は足踏み、10年連続で1%割れ

  • ※コアCPIの推移(前年度比)
  • *消費税の影響を除く
  • 出所:総務省の資料、データをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

2018年度平均のコアCPIは前年度比0.8%の上昇、1.0%を下回るのは10年連続となっています(グラフ1)。日本銀行は2013年1月、当初2年程度の期間を念頭に『2%の物価安定の目標』を掲げ、大規模な金融緩和策を導入したものの、現段階では達成までの道のりは長いとみられます。

2018年度平均の物価変動の影響を項目別にみてみると、上昇したのはガソリン、ガス・電気代などの光熱費等となりました。また人件費の高騰や、原材料価格の上昇等を受け、外食も上昇となりました。一方、物価の主な下押し要因となったのは、携帯電話の通信料です。菅義偉官房長官が2018年8月に『今よりも4割程度下げる余地がある』と発言して以降、競争激化により通信大手が相次いで料金を改定したことから、前年度比で4.5%の下落となりました(表1)。今後は他の通信会社も値下げに追随するものとみられており、値下げの流れは2019年度も継続すると予想されます。また、10月から始まる幼児教育・保育無償化も物価の下押し要因となりそうです。

表1:光熱費の上昇が目立つも、通信料が下落

上昇に寄与した主な項目・品目
外国パック旅行費(9.9%)
ガソリン(9.8%)
石油製品(8.9%)
都市ガス代(5.0%)
電気代(4.9%)
下落に寄与した主な項目・品目
電気掃除機(▲14.7%)
照明器具(▲11.8%)
電子レンジ(▲5.4%)
生鮮野菜(▲5.1%)
通信料(携帯電話)(▲4.5%)
  • *2018年度、カッコ内は前年度比、▲はマイナスを表します。
  • 出所:総務省の資料、データをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

4月1日より、乳製品や清涼飲料水など800品目以上の食料品が値上げされ、今後の物価上昇は食料品の値上げ動向がカギとなりそうです。しかし、値上げは消費者の購入意欲の減退を招くことが多く、企業は値上げに対して非常に慎重な姿勢を示していることから、物価上昇の足踏みは継続するものとみられます。

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