金融市場NOW

首都圏新築マンション 価格上昇

2019年04月22日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

販売戸数は前年度比で減少 価格は高止まり

  • 2018年度の首都圏の新築マンション発売戸数は、前年度比0.5%減の3万6,651戸となる。
  • 資材費と人件費の高騰は継続し、価格は高止まり。好調であった首都圏のマンション市況に頭打ち感も。
  • 価格高騰の要因である人手不足の解消の兆しはなく、マンション市況は厳しい環境が継続か。

2018年度の状況

グラフ1:マンション発売戸数は前年度比で小幅に減少

  • ※首都圏新築マンション発売戸数の推移
  • 出所:ニッセイ基礎研究所、不動産経済研究所のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

4月17日に不動産経済研究所が公表したマンション市場動向調査によれば、2018年度の首都圏(1都3県:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)の新築マンション発売戸数は、2017年度比0.5%減の3万6,651戸となりました。減少となるのは2年ぶりです(グラフ1)。都心のマンション建設において、人気エリアの用地取得が困難であったことが影響したものとみられます。資材費と人件費の高騰は継続しており、近年の都心マンションの価格は、一般の給与所得者には手が届きにくくなっていることから、販売不振により前年度末と比較して在庫も増加している状況です。これまで好調であった首都圏のマンション市況にやや頭打ち感がみられています。マンションの1戸当たりの平均価格は前年度比0.1%高い5,926万円となり、バブル期の1990年度(6,214万円)以来の高水準となりました。

2019年3月の状況

グラフ2:契約率は12ヵ月ぶりに70%を上回る

  • ※首都圏新築マンションの契約率の推移
  • 出所:ニッセイ基礎研究所、不動産経済研究所のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

引き続き、都心・駅近という好立地である23区内の高額物件の供給が積極的で、市場をけん引したことから、3月の契約率は72.2%と12ヵ月ぶりに70%を超えました(グラフ2)。即日完売となった物件は23区内の3物件と千葉県の1物件の合計4物件で、いずれも最寄駅から徒歩圏で、オフィス街へのアクセスが良い立地となっています。主な購入層も、富裕層や高収入の共働き世帯が中心となっています。

2019年10月に消費増税を控えているものの、2019年3月末までの契約は税率を8%とする経過措置があったことから駆け込み購入もほとんどみられませんでした。住宅ローン金利は依然低水準となっているものの、値上がりの原因の1つとなっている人手不足の解消の兆しはなく、マンション市況には厳しい環境が継続するものと思われます。

  • 住宅は契約から完成、引渡しまでおよそ6ケ月前後の期間を要するケースがあるため、2019年3月末までに契約したものであれば引渡しが10月1日以降でも旧税率である8%を適用するというもの。

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