金融市場NOW

米貿易赤字 最大に

2019年03月20日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

中国に対する赤字額も増加し 過去最大へ

  • 米商務省が発表した2018年通年のモノの貿易赤字額が12年ぶりに過去最高となる。
  • トランプ米大統領の保護主義的な通商政策にも関わらず貿易赤字は拡大。
  • 支持層から通商策に対する不満が高まれば、トランプ米大統領の貿易相手国への強硬姿勢が高まる可能性も。

3月6日に米商務省が発表した2018年通年の貿易統計(通関ベース)によると、モノの貿易赤字額が前年比10.4%増加の8,787億200万ドルとなり、2006年以来12年ぶりに過去最大を記録しました(グラフ1)。米国の貿易額のおよそ5割を占める中国に対する貿易赤字も過去最高となりました(グラフ2)。トランプ米大統領は就任以来、不公平な競争条件から米国の製造企業を守る必要があるとし、保護主義政策を進めてきました。2018年は中国や日本、欧州に対し強硬な通商政策を相次いで実行しました。しかし、保護主義的な通商政策にも関わらず、貿易赤字は拡大となったことから、トランプ大統領は貿易相手国に赤字縮小の要求をさらに強く迫ることになりそうです。

グラフ1:貿易赤字は12年ぶりに最大となる

  • ※米国のモノの赤字の推移
  • 出所:米国商務省のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:中国は米国の主要な貿易相手国

  • ※国・地域別の貿易額の割合(2018年)
  • 出所:米国商務省のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

米国も貿易相手国・地域からの報復関税による影響を受け、自動車や農産品を中心に輸出が不調となり、特に主力品である大豆は2018年7月以降、大幅減となりました。一方で、 中国からの輸入は増加となりました。

貿易赤字額を国・地域別に見てみると、対中国が前年比11.6%増の4,192億ドルとなり、2年連続で過去最大となりました。また対日本は前年比1.8%減の676億ドルとなりました。このほか、対メキシコや対欧州連合(EU)の貿易赤字も拡大し、過去最大となりました。

足元、米景気は堅調に推移しており、貿易赤字拡大に対する支持層の反発はみられないものの、景気が減速した場合、通商政策への不満が表面化することも考えられます。トランプ米大統領が、貿易赤字に対し特に敵対視する国・地域へさらなる強硬策を実施する可能性もありそうです。

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