金融市場NOW

日欧経済連携協定(EPA)発効へ一歩前進

2018年12月11日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

輸出企業や農家に恩恵も

  • 日欧EPAの承認案が12月3日に参議院本会議で審議入り。2019年2月1日の発効に向けて一歩前進。
  • 輸出企業や輸出に積極的な農家に恩恵があるとされ、安倍政権は成長戦略の重要な柱として位置づける。
  • EPA発効による自由貿易圏の拡大により、米国との交渉を有利に進めたいという思惑も。

2013年から交渉が続けられ、2017年7月に大枠合意されていた、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)の承認案が12月3日に参議院本会議で審議入りしました。今国会で成立する見通しが高まったことから、日欧がめざす2019年2月1日の発効に向け一歩前進となりました。発効となれば、双方の関税が幅広く撤廃・削減され、世界の貿易のおよそ4割、国内総生産(GDP)のおよそ3割を占める巨大自由貿易圏の誕生となります(グラフ1)。

グラフ1:巨大自由貿易圏の誕生が現実味

世界のGDPに占める日本・EUの割合

※2017年データ

世界の貿易に占める日本・EUの割合

※2016年データ(輸出と輸入の合計)

出所:IMF、世界銀行のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

図1:日欧EPAを自由貿易協定の柱に位置づけ

※2016年度の実質GDP水準で換算した場合の押し上げ効果。 出所:内閣官房の資料をもとにニッセイアセットマネジメントが作成

日欧EPAの発効は、輸出企業や輸出に積極的である農家に恩恵があるとみられています。EUが日本にかけている自動車部品の関税は貿易額で9割以上が撤廃され、日本がEUにかけている農林水産物の関税も、コメなどの一部を除き撤廃される見込みです。安倍政権は、“アベノミクスの成長戦略の重要な柱”と位置づけ、経済効果については約5.0兆円の実質国内総生産(GDP)の押し上げ(図1)、雇用創出は約29万人になると試算しています。

図2:日本とEUは米国と交易交渉を抱えている

出所:各種報道等をもとにニッセイアセットマネジメントが作成

発効には日本・EUの両議会で可決する必要があり、EU議会は12月中に最終採決する見込みです。EPAが発効されれば、農林水産品と鉱工業品を合わせ日本側が約94%、EU側が約99%の関税が撤廃される見込みです。
日本とEUはそれぞれ米国と交易交渉を抱えていることから(図2)、一部では、EPAの早期発効により自由貿易圏を広げることで、米国との交渉を有利に進めたいという考えもあるとの見方もあるようです。

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