金融市場NOW
訪日外国人旅行者数 4,000万人へ向けて
2018年12月03日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
LCCの増便・新設を見込み、内閣府が試算
- 10月の訪日外国人旅行者数(以下、訪日外客数)が前年同月比で1.8%増加の264万600人となり、10月単月では過去最高。
- 自然災害の影響により落ち込んだ訪日需要が回復。史上初の年間3,000万人超えとなるか。
- LCCの就航は増加傾向にあり、地方空港の受入体制の整備等が急がれる。
観光庁は11月21日、2018年10月の訪日外客数(推計値)が前年同月比で1.8%増加の264万600人となったと発表しました。なお、2018年1~10月の累計は2,610万9,000人に達し(グラフ1)、10月単月としては過去最高を記録しました。9月は台風21号や北海道地震の影響により、2013年1月以来5年8カ月ぶりのマイナスの伸びとなったものの、中国人などを中心に訪日需要が回復し、10月単月の訪日外客数は増加に転じました。自然災害による旅行控えは残るものの、同水準を維持することができれば、通年ベースでは史上初の3,000万人を超えることができるものと期待が高まっています。
近年の訪日外客数の増加には、クルーズ船の寄港増加や円安、ビザの取得要件緩和などさまざまな要因が考えられています。内閣府は11月27日、日本に就航するLCC(格安航空会社)の増便予想と新設を見込み、今後の訪日外客数を試算し公表しました。
内閣府の試算によれば、2018年以降、毎年2割ずつLCCの就航が伸びた場合、2020年には訪日外客数が4,210万人となり、政府が目標とする年間4,000万人を達成する見込みであるとしています。
国際線LCCの就航は増加傾向にあります(グラフ2)。内閣府は、昨今の就航便数の増加が訪日外客の増加に寄与したと分析し、継続的に訪日外客数を増やすには今後も就航増が必須であるとの見解を示しています。政府はLCCの持続的な成長に向け、地方空港の受入体制の整備や、新規就航や増便に係る着陸料の軽減・補助措置等を検討しています。LCCの受入れ環境が整うこととなれば、さらなる訪日外客の呼び込みを後押しすることになりそうです。
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