金融市場NOW

デンマーク家計の金融資産拡大が続く

2018年09月13日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

負債比率が緩やかに低下する中で金融資産の拡大が続く

  • デンマーク家計が抱える負債の比率(対可処分所得比)は、2017年時点でOECD加盟35カ国中最大。但し、リーマン・ショック頃をピークに低下傾向となっている。
  • 金融資産の負債に対する超過幅が拡大傾向を続けている。金融波乱時等にデンマーク家計を下支えする可能性も。

デンマーク家計の負債比率

グラフ1:家計の負債比率(対可処分所得比)

出所:OECDのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

デンマーク家計が抱える負債の比率(対可処分所得比)は2017年時点で282%と、リーマン・ショック頃の340%よりは低下してはいますが、OECD(経済協力開発機構)加盟35カ国の中では最も高い水準となっています(グラフ1、3)。

尚、主な北欧諸国(デンマークを含む5ヵ国)の同比率は総じて高くなっています(グラフ1)。

税負担率の高いデンマーク

グラフ2:デンマーク等の税負担率(対GDP比)

出所:OECDのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

デンマーク等の北欧諸国の家計負債比率が相対的に高い要因の一つとして、税負担率の高さが挙げられるものと思われます。2016年時点のデンマークの税負担率は対GDP(国内総生産)比で45.9%とOECD加盟35カ国中もっとも高くなっています(グラフ2)。

高福祉・高負担国家の一つとされるデンマークでは、1983年以降40%を超える税負担率が続いています。税金の支払いで自由に使える可処分所得が減少し、車や住宅等を購入する場合にローンを利用するケースが多くなっているものと思われます(グラフ2)。

負債を上回るデンマーク家計の金融資産

グラフ3:デンマークのネット資産比率(対可処分所得比)

出所:OECDのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

デンマーク家計の負債(対可処分所得比)がリーマン・ショック頃をピークに緩やかに低下する一方で、株価の上昇等を背景に金融資産(対可処分所得比)は増加傾向を続けています。ネット資産比率(金融資産比率-負債比率)は2008年をボトムに拡大基調となり、2017年時点ではプラス213%と1995年以降では過去最大となっています。

ネット資産比率はリーマン・ショック前の2005~06年頃の倍近くに拡大しており、金融波乱時等にデンマーク家計を下支えする役割を果たす可能性もあります(グラフ3)。

尚、2017年時点の金融資産の資産別構成は、保険:28%、株式:23%、年金:22%、現預金:16%、投信:8%、その他:3%となっています。

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