金融市場NOW

IMF世界経済見通し(2018年7月時点)

2018年07月19日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

貿易摩擦の激化が引き続き下振れリスク

国際通貨基金(IMF)は7月16日に公表した最新の世界経済見通しにおいて、2018年、2019年の世界の成長率見通しをともに3.9%とし、いずれも2018年4月の前回見通しを据え置きました。引き続き米中などの貿易摩擦の激化が世界景気の下振れリスクになると指摘し、対中国や欧州などとの報復合戦により企業心理が悪化することとなれば、世界全体の国内総生産(GDP)をおよそ0.5%押し下げるとの試算も示しました。以下、要約です。

  • 米国は、2018、2019年とも2%台後半の堅調な成長が続くとの予測を維持。現時点ではトランプ政権の輸入制限による景気の下振れは見込まれていないものの、報復関税の影響で輸出が減速する恐れがあると警告している。
  • ユーロ圏は、ドイツやフランスの景気が軟調なことや、イタリアの政治的な不透明感を背景に2018、2019年とも下方修正され、経済成長のペースを徐々に落としつつある。
  • 日本は、1~3月期の民間消費と投資が予測よりも低水準にとどまったことなどにより、2018年は1.0%と前回の1.2%から下方修正、2019年は0.9%のまま前回から据え置かれた。
  • 新興国は中国は引き続き順調に推移すると見込むものの、政治的な不安がくすぶるブラジルは2018年見通しが大きく下方修正されるなど、国々でばらつきが目立っている。

表:IMF世界経済見通し(前年比)

2018年7月時点

単位:% *1 インドは年度ベース *2 インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム *3 オーストラリアは2017年10月時点との比較 出所:IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成
  2017年(前年比) 見通し(前年比) 前回(2018年4月時点)との比較
2018年 2019年 2018年 2019年
世界 3.7 3.9 3.9 0.0 0.0
先進国 2.4 2.4 2.2 -0.1 0.0
日本 1.7 1.0 0.9 -0.2 0.0
米国 2.3 2.9 2.7 0.0 0.0
ユーロ圏 2.4 2.2 1.9 -0.2 -0.1
ドイツ 2.5 2.2 2.1 -0.3 0.1
フランス 2.3 1.8 1.7 -0.3 -0.3
イタリア 1.5 1.2 1.0 -0.3 -0.1
スペイン 3.1 2.8 2.2 0.0 0.0
英国 1.7 1.4 1.5 -0.2 0.0
カナダ 3.0 2.1 2.0 0.0 0.0
新興国 4.7 4.9 5.1 0.0 0.0
中国 6.9 6.6 6.4 0.0 0.0
インド *1 6.7 7.3 7.5 -0.1 -0.3
ASEAN5 *2 5.3 5.3 5.3 0.0 -0.1
ブラジル 1.0 1.8 2.5 -0.5 0.0
ロシア 1.5 1.7 1.5 0.0 0.0
オーストラリア *3 2.3 3.0 3.1 0.1 -

グラフ1:主要先進国の経済見通し(前年比)

出所:IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:主要新興国の経済見通し(前年比)

出所:IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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