金融市場NOW

日銀短観(2018年6月調査)の概要

2018年07月05日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

2四半期連続悪化 景気拡大に足踏み感も

日本銀行が7月2日に発表した2018年6月の全国企業短期経済観測調査(短観、6月調査)は、これまでの景気拡大に足踏み感がみられる結果となりました。原油高による原材料費の上昇や、人手不足、くすぶり続ける米中貿易戦争への懸念等から、海外を中心に景気の先行きに不透明感がみられています(表、グラフ1)。一方、注目されている2018年度の大企業製造業の想定為替レートは107.26円と、7月2日午前の円相場より約3円円高・米ドル安に想定されており、今の為替水準が継続した場合、企業収益の押し上げ要因となることも期待できそうです。以下、ポイントです。

  1. 大企業製造業の業況判断指数(DI)は2四半期連続で悪化、前回調査から3ポイント低下しプラス21となった。2期連続の悪化は2012年12月以来5年半ぶり。原油高による原材料費の上昇や米国発の通商問題等により景気後退リスクが意識された。機械や自動車など輸出企業の景況感の悪化が目立った。
  2. 大企業非製造業のDIはプラス24と前回調査から1ポイント上昇し、4四半期ぶりに改善。小売りの景況感が悪化した一方、サービスや宿泊・飲食サービスが大きく改善。先行きに関しては悪化が見込まれている。
  3. 雇用人員判断DIは、全規模・全産業でマイナス32と前回調査から2ポイント改善。4月の新卒採用の影響で多少緩和され、不足幅はやや縮小したものの依然として人手不足感は根強い。
  4. 2018年度の設備投資計画(含む土地投資額)については強気。大企業は全産業で前年比(以下同様)13.6%増と6月時点の計画としては1983年度以降で最大の伸び。製造業は17.9%増、非製造業も11.2%増と、それぞれ前回3月調査から大幅に上方修正された(グラフ2)。

表:業況判断DI(2018年6月)

「良い」-「悪い」、ポイント

(*1)2018年3月調査比(*2)2018年6月(最近)比 出所:日銀短観データをもとにニッセイアセットマネジメント作成
  2018年3月調査 2018年6月調査
最近 最近 先行き
  変化幅(*1)   変化幅(*2)
大企業 製造業 24 21 -3 21 0
非製造業 23 24 1 21 -3
全産業 23 22 -1 21 -1
中堅企業 製造業 19 20 1 16 -4
非製造業 21 20 -1 16 -4
全産業 20 20 0 16 -4
中小企業 製造業 15 14 -1 12 -2
非製造業 10 8 -2 5 -3
全産業 11 11 0 8 -3

グラフ1:景気拡大にやや足踏み感がみられる

※大企業および中小企業の業況判断指数の推移 ※2018年9月は2018年6月調査による先行き見通し 出所:日銀短観データをもとにニッセイアセットマネジメント作成

グラフ2:設備投資は前回調査から上方修正

※設備投資額(前年比)の推移(各年6月調査) 出所:日銀短観データをもとにニッセイアセットマネジメント作成

金融市場動向一覧へ

「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。