金融市場NOW

家計金融資産 過去最高

2018年07月03日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

株高がけん引、現金・預金の増加も継続

  • 2017年度末の家計の金融資産残高は、1,829兆円となり年度末の残高としては過去最高となる。
  • 株式の評価額が膨らんだことに加え、現金・預金の増加が継続したことが要因。
  • 日本の現金・預金の比率は欧米に比べ相対的に高く、引き続き貯蓄から投資への推進が期待される。

日本銀行が6月27日に発表した2018年1~3月の資金循環統計(速報)によると、2017年度末の家計の金融資産残高は、前年度末より2.5%増加の1,829兆円で、年度末の残高としては過去最高となりました(グラフ1)。株価上昇により株式の評価額が膨らんだことに加えて、現金・預金の増加も継続しているためとみられます。

内訳をみると、『現金・預金』が全体の52.5%を占め961兆円、前年度比(以下、同様)では2.3%増となり、45四半期連続の増加となりました(グラフ2)。『株式等』は11.7%の増加で199兆円となったものの、株価の下落等により前期の21.9%増(前年同期比)と比べると伸び率が大幅に縮小しました。『投資信託』は1.4%増の73兆円となりました。2017年度末の日経平均株価は2万1,454円で、2016年度末と比較して約13%高い水準でした。

民間企業(除く金融)の金融資産は前年度比8.5%増の1,178兆円となりました。同資産の内訳で最も多いのは『株式等』で、前年度比16.1%増加の388兆円、次いで『現金・預金』が3.8%増加の261兆円、3番目は対外直接投資を含む『企業間・貿易信用』で7.1%増加の238兆円でした。

日・米・ユーロ圏の家計金融資産の構成を比較してみると、家計金融資産に占める『現金・預金』の比率は、米国が約13%、ユーロ圏が約33%となっており、日本は『現金・預金』の比率が相対的に高くなっています(グラフ2)。政府は、つみたてNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)のスタート等により、リスク性資産への投資を更に推進しようとしていますが、『貯蓄から投資へ』の浸透にはまだまだ時間を要するものとみられます。

グラフ1:家計金融資産残高は過去最高

※家計金融資産残高の推移 出所:日本銀行のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:現金・預金の比率は依然として高い

※家計金融資産の構成比率(2018年3月末時点) 出所:日本銀行のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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