金融市場NOW

成長戦略素案 まとまる

2018年06月15日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

行政手続きのインターネット一括化 効率化が狙い

  • 6月4日の第17回未来投資会議において成長戦略『未来投資戦略2018』の素案が示された。
  • 行政等でのAI活用によるコスト削減と、技術革新による日本経済の競争力の向上が狙い。
  • 2018年は、戦略の打ち出しだけでなく、いかに実現することが出来るのかが試される年となるか。

政府は6月4日の第17回未来投資会議において、成長戦略『未来投資戦略2018』の素案を示しました。高齢化の進展に伴いニーズが拡大する医療や介護の分野においてITや人工知能(AI)などの開発・導入を進め、今後の生産性を高めることが柱のようです。

今回の戦略は、世界で進むデジタル革命への対応について、2つの狙いが込められています。1つめは、生産現場や行政等においてAIなどの導入を促すことで、コスト削減につなげていくこと、もう1つは技術革新により世界における日本経済の競争力を高めることです。このデジタル革命の波に乗り、研究開発型ベンチャー企業の創業環境を整備し、企業価値が10億ドル(約1,100億円)以上の未上場ベンチャー企業を2023年までに20社創出するとの具体的な数値目標も掲げました。

また、国民や企業が行政手続きをインターネットを通じて一括して行うことができるようにする『デジタルファースト法案(仮称)』を年内にも国会に提出することも盛り込みました。同法案は、バックオフィスの連携による添付書類の撤廃、押印や対面による本人確認手法の見直し、手数料支払いのオンライン化などを進め、行政手続きを効率化するのが狙いとなっています。

打ち出された戦略そのものは、数年前から変わっておらず新味に欠けるとの声もあることから、今年以降は戦略の打ち出しだけでなく、いかに実現することができるのかが改めて試されることとなりそうです。

未来投資戦略2018(素案)

自動運転

  • 2030年までに全国100ヵ所以上で地域限定の移動サービスを展開
  • 次期通常国会で、道路交通法改正の必要性を含めて運転手の義務の見直しなどを検討

健康・医療・介護

  • 健康・医療・介護のビッグデータを分析・活用するシステム基盤を構築。2020年度に開始
  • 保険外サービスの活用を促進し、平均寿命の延びを上回る健康寿命の伸びをめざす

行政の電子化

  • 介護や死亡・相続、引っ越し、企業の税・社会保障といった行政手続きをオンラインで一括に
  • AIなどを活用したビッグデータ処理技術を2020年度末までに300自治体に導入

大胆な規制・制度改革

  • プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応した基本原則を今年中に策定

キャッシュレス

  • 産学官の関係者による「キャッシュレス推進協議会(仮称)」を本年中に設立

ベンチャー支援強化

  • 企業価値が10億ドル以上の「ユニコーン(未上場ベンチャー企業)」や上場ベンチャーを2023年までに20社創出

出所:内閣府等の資料をもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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