金融市場NOW
不動産業向け貸出残高 過去最高へ
2018年05月28日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
増加ペースはやや鈍化するも過去最高を更新
- 2018年3月の国内銀行の総貸出残高は、前年同期比2.3%増の493.8兆円となった。
- 業種別では、不動産業向けの貸出残高は同5.7%増の76.5兆円となり、過去最高を更新した。
- 不動産関連融資にやや一服感がみられるものの、引き続き不動産投資信託(REIT)向け融資が貸出をけん引か。
日本銀行が5月17日に発表した2018年3月の『貸出先別貸出金』によると、国内銀行(3勘定:銀行、信託、海外店)の総貸出残高は前年同期比(以下、同様)2.3%増の493.8兆円となりました。
主な業種別で見てみると、不動産業向けの貸出残高は同5.7%増の76.5兆円となり、過去最高を更新しました。マイナス金利政策を背景とした住宅ローン金利の低下や、地価上昇を受けた不動産投資信託(REIT)向け融資の増加等を背景に残高は増加傾向にあるものの、増加ペースは鈍化しており不動産関連融資は若干一服感がみられ始めているようです(グラフ1)。全産業貸出残高に占める割合は、不動産業向けが15.5%となり、2017年12月の15.3%からやや増加し、2017年3月期から過去最高を更新し続けています。不動産業向けの新規の貸出は、やや落ち着きを取り戻したようにみられます。2018年1~3月期の不動産向け新規貸出は3.46兆円となり、同8.5%の減少となりました。
個人向けの貸出残高は23.3兆円となり、伸び率は同2.4%と2017年12月と同水準となったものの、ピーク時からは半分以下の伸び率となっており、シェアハウスなどへの不正融資が問題となったことから今後は銀行の慎重姿勢が強まり、減速していくものとみられます。新規の貸出も減少傾向をたどっています。
2016年3月に国土交通省が公表した『不動産投資市場の成長戦略』において、J-REIT等の資産総額を現在の約16兆円から2020年頃までに約30兆円へ倍増させる目標が示されており、国際ビジネスや観光などの成長分野として期待される施設を中心に保有物件拡充のための支援が行われつつあります。引き続き不動産投資信託(REIT)向け融資が銀行貸出をけん引するものとみられます(グラフ2)。
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