金融市場NOW

企業設備の老朽化

2018年02月02日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

企業競争力の阻害要因にも

  • 企業が保有する設備の老朽化が進行しており、特に中小企業の老朽化が進んでいる。
  • バブル崩壊後の長引く不況により、企業は長期間にわたって新規の投資を抑制したことが要因か。
  • 日本経済の成長維持には、積極的な新規投資により設備効率の向上が不可欠となる。

企業が保有する工場や機械などの設備が老朽化しています。

設備を新設してから経過した年数である“設備年齢”を大企業と中小企業で比較してみると、大企業では6.4年、中小企業では8.5年となっており(グラフ1)、1990年度の大企業と中小企業の設備年齢は同水準であったということを勘案すると、中小企業の設備の老朽化が進展していることがわかります。

企業設備の老朽化が進展した理由として、バブル崩壊後の不況により、企業は長期間にわたって新規の投資を抑制したことがあげられています。この企業の設備投資の抑制が生産性の上昇を妨げ、また、企業規模によって生産性に大きな差が生じたとみられています。昨今の景気回復により設備投資は増加しつつあるものの、新規投資はなおも慎重であり、設備年齢の低下にはつながっていないというのが現状です。特に中小企業が新規の設備投資に消極的である最も大きな要因として、大企業との収益力の差が考えられます(グラフ2)。また近年では、後継者不足により事業承継が困難となり、廃業を余儀なくされる中小企業が多く、大規模な設備投資が実施されないこともあるようです。

設備の老朽化や投資の抑制は、生産性や企業間競争力の低下をもたらすと考えられます。今後も日本経済の成長を維持していくためには、新規投資を積極的に行うことで設備の効率を高めていくことが不可欠となりそうです。

グラフ1:企業設備の老朽化が進んでいる

※企業の規模別設備年齢の推移 出所:中小企業白書のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:大企業と中小企業には収益の開きがある

※企業の規模別売上高営業利益率の推移 大企業:資本金10億円以上、中小企業:資本金1,000万円以上1億円未満
いずれも全規模・全産業(除く、金融・保険業)
出所:法人企業統計のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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