金融市場NOW

経常収支 10年ぶりの高水準

2018年01月11日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

海外子会社から受け取る配当金の増加が主因か

  • 財務省が発表した2017年4~9月の国際収支統計によると経常収支は11兆5,339億円となった。
  • サービス収支のうち旅行収支が半期ベースで過去最高の8,429億円となる。
  • 堅調な海外経済と、訪日客の継続的な増加を背景に今後も緩やかな経常黒字拡大が期待される。

財務省が発表した2017年4~9月の国際収支統計(速報)によれば、"モノ"や"サービス"を含む海外との総合的な取引状況を示す経常収支は11兆5,339億円となり、半期としてはリーマン・ショック以来、およそ10年ぶりの高水準となりました(グラフ1)。世界経済の回復基調を背景に、海外に展開している企業の業績が好調であり、企業が海外子会社から受け取る配当金が増えたことや、訪日外国人の増加により旅行収支の黒字額が過去最高となったことが大きく寄与しました。また、円安により円換算した金額が膨らんだことも要因となったようです。

海外投資から得られる利子や配当を示す第1次所得収支は、12.4%増の10兆3,823億円で、このうち配当金などの企業が海外子会社から受け取る直接投資収益が4兆8,696億円となりました。また、昨今の訪日客の増加にともない日本国内での消費が増加し、サービス収支のうち旅行収支が半期ベースで過去最高の8,429億円となりました。日本政府観光局(JNTO)によれば、昨年の訪日外国人数は前年同期比19.9%増の1,466万人と上半期としては過去最多の記録となりました(グラフ2)。これにともない訪日客の日本での消費が増加し、旅行収支黒字は上半期ベースで6年連続で拡大しています。

近年の経常黒字は、企業の海外子会社からの配当増が主因となっており、貿易よりも海外進出などの投資で稼ぐ姿が鮮明になりつつあるようです。堅調な海外経済と、訪日客の継続的な増加により、今後も緩やかな黒字拡大が続くとみられています。

グラフ1:リーマン・ショック以来10年ぶりの高水準

リーマン・ショック以来10年ぶりの高水準
出所:財務省のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:訪日外国人の人数は過去最多(上半期ベース)

訪日外国人の人数は過去最多(上半期ベース)
※各年の4~9月の訪日客数の合計 出所:日本政府観光局(JNTO)のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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