金融市場NOW

「生産性革命」による企業内部留保の国内活用

2017年12月07日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

設備投資促進など企業の内部留保有効活用で経済成長加速を目指す

  • 政府は成長戦略の目玉政策となる「生産性革命」の具体策として賃上げや設備投資を行った企業への法人税負担を減らし、溜め込み過ぎとの批判がある「内部留保」の国内での有効活用を促す。
  • 各国で自国へ資金を呼び込む政策の議論が活発化する中、国内での資金活用で景気が刺激され、経済成長期待から株価への好影響も。安倍政権政策の具体策が注目される。

政府は11月17日に未来投資会議を開き、成長戦略の柱となる目玉政策「生産性革命」の具体策について議論を行いました。同内容を政策パッケージとして取りまとめ、12月8日に閣議決定するものと思われます。その中では時限措置として3%以上の高い賃上げを行った企業の法人税減税や、「内部留保」などを活用し積極的に設備投資を行った企業への優遇措置など、企業の成長を促す政策が軸となりそうです。

「内部留保」の有効活用として金融庁が指針作りに向けた議論を始めたとの報道がありました。自社の「内部留保」の水準が適正かどうかをチェックするために、投資家への説明責任を求めることなどが検討課題となりそうです。背景には「内部留保」を溜め込み過ぎとの批判があります。9月に財務省から発表された2016年度の法人企業統計では、内部留保(利益剰余金)が過去最高の406兆円、そのうち現預金は211兆円となりました(グラフ1)。「内部留保」が増加する中で直近の民間の設備投資(前年同期比)は盛り上がりに欠ける動きを続けています(グラフ2)。企業の中にはM&A(企業買収)など、海外投資を増やしているところもありますが、一段の「内部留保」の活用が求められているようです。

法人税負担軽減により設備投資の増加や賃上げなど国内での資金活用が進めば、企業業績の更なる上昇や賃金増により個人消費が刺激され、日本経済の成長加速期待から23,000円台に迫る日経平均株価など国内株式の更なる上昇が期待されます。米国の税制改革など世界各国で自国へ資金を呼び込む政策の議論が活発化する中、安倍政権の目玉政策の具体策に注目が集まるところです。

グラフ1:内部留保(利益剰余金)の推移

内部留保(利益剰余金)の推移
出所:法人企業統計調査よりニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:民間設備投資の推移

民間設備投資の推移
出所:ブルームバーグデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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