金融市場NOW

減らぬ 待機児童

2017年10月19日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

需要の多い場所に施設が不足

「希望しても保育所などに入れない!」いわゆる待機児童が増加を続けています。

2017年4月1日時点の待機児童数は前年より2,528人増加の2万6,081人となり、3年連続で前年より増加となりました(グラフ1)。全国の保育施設等は、この1年間でおよそ11万人分の枠が増えたものの、需要の多い都市部で整備が遅れていることが影響したようです。政府は「子育て 安心プラン」で2020年度末までに待機児童をゼロにする目標を掲げているものの、保育施設の設置を増やすなど受け入れ体制の拡充が不可欠となりそうです。

近年、保育施設の需要が拡大しつつある最大の要因は、結婚・出産後に働く女性が増加しているためです。25~44歳の女性の就業率は2016年時点で72.7%となっており、5年前から大きく上昇しています(グラフ2)。子どものいる世帯の平均所得も1996年をピークに減少傾向にあり、多くの世帯が共働きの必要に迫られていることも要因であると考えられます。

国や自治体が少子化対策を進めた結果、2017年4月時点の保育施設の定員数は前年に比べて約11万人増加しました。しかし、現状は高層マンションの建設が相次いでいる都心部や、ファミリー世帯が集中する都心へのアクセスが便利なベッドタウンなどの保育需要の多い場所で施設が不足しているというミスマッチが起きているようです。

厚生労働省はこのような現状を踏まえ、来年度より待機児童の実態について地域ごとにより細かく公表するよう自治体に依頼し、今後はその情報をもとに需要と供給のミスマッチの解消につなげていく見込みです。

グラフ1:待機児童は減らず、3年連続で増加

待機児童は減らず、3年連続で増加
※待機児童数の推移(各年4月1日時点) 出所:厚生労働省のデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ2:女性の就業率は年々上昇している

女性の就業率は年々上昇している
※女性(25~44歳)の就業率の推移 出所:厚生労働省のデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

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