金融市場NOW

日銀短観(2017年9月調査)の概要

2017年10月04日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

景況感改善 幅広に

日本銀行が10月3日に発表した2017年9月(回答期間:2017年8月29日~2017年9月29日)の全国企業短期経済観測調査(短観)では、製造業を中心に業況感の改善がみられました。一方、引き続き人手不足の深刻度は増しており、生産性向上や省力化投資などが不可欠であるとみられています。以下、概要です。

  1. 大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス22となり、前回6月調査から5ポイント上昇し、4四半期連続の改善(表1、グラフ1)。半導体や自動車向け部品がけん引し、10年ぶりの高水準となった。人手不足などを背景に先行きには慎重な見方が多い。
  2. 大企業非製造業は、プラス23と前回から横ばい(表1)。前回から宿泊・飲食サービスが7ポイント悪化。人手不足が景況感を押し下げた。
  3. 中小企業も景況感の改善が継続(表1、グラフ1)。全産業はプラス9と、前回から2ポイント改善し、約26年ぶりの高水準。大企業製造業の生産が活発化し、下請け企業である中小企業製造業にも回復が及んだ。
  4. 雇用人員判断DI(雇用人員「過剰」-「不足」、ポイント)は大企業全産業でマイナス18、中小企業はマイナス32となった。中小企業を中心に人手不足が深刻化している。人手不足解消に伴う人件費増加懸念が、中小企業を中心に先行きに不安を募らせている(グラフ2)。

表1:業況判断DI(2017年9月)

(「良い」-「悪い」、ポイント)

(*1)2017年6月調査比、(*2)2017年9月(最近)比
出所:日銀短観データを基にニッセイアセットマネジメントが作成
  2017年6月調査 2017年9月調査
最近 最近 先行き
  変化幅(*1)   変化幅(*2)
大企業 製造業 17 22 5 19 -3
非製造業 23 23 0 19 -4
全産業 20 23 3 19 -4
中堅企業 製造業 12 17 5 13 -4
非製造業 18 19 1 14 -5
全産業 16 18 2 13 -5
中小企業 製造業 7 10 3 8 -2
非製造業 7 8 1 4 -4
全産業 7 9 2 6 -3

グラフ1:景況感の改善は継続するも先行きは慎重姿勢か

景況感の改善は継続するも先行きは慎重姿勢か
※大企業および中小企業の業況判断指数の推移 ※2017年12月は2017年9月調査による先行き見通し 出所:日銀短観データを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ2:中小企業を中心に引き続き人手不足は深刻

中小企業を中心に引き続き人手不足は深刻
※大企業および中小企業の雇用人員判断DIの推移 ※2017年12月は2017年9月調査による先行き見通し 出所:日銀短観データを基にニッセイアセットマネジメント作成

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