金融市場NOW

日本の競争力 低下

2017年10月02日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

多額の政府債務や女性社会進出の遅れが要因か

  • 世界経済フォーラムが発表した「世界競争力報告」で、日本の総合順位が9位となった。
  • 首位は9年連続でスイス。順位の変動はあったが、上位10ヵ国すべてが前年と同じ国・地域となった。
  • アジア諸国が競争力を高める一方、先進国で生産性低下の兆候が見られ技術革新等が求められる。

世界経済フォーラム(WEF)は2017年9月27日、2017年版の「国際競争力ランキング」を発表しました。調査対象の137ヵ国・地域のうち、日本の総合順位は昨年の8位から順位を1つ落とし9位となりました。順位の低下は2年連続です(表1)。

WEFの国際競争力ランキングは、「インフラ」や「マクロ経済環境」、「労働市場の効率性」などの12種類の項目にある複数のサブ項目の評価点によってスコアを算出し、総合評価点が決定されます(表2)。首位は技術の革新力や教育水準などがすぐれているとして9年連続でスイス、2位に米国、3位にシンガポールが続きました。10位以内の順位の変動は多少あったものの、10ヵ国すべてが前年と同じ国・地域となっています。スイスは12項目のうちすべての項目が10位以内に入っており、「労働市場の効率性」、「ビジネスの洗練度」、「イノベーション」の3項目が1位となりました。日本はインフラの質や教育水準が高く、技術革新も進んでいると評価された一方で、「マクロ経済環境」のサブ項目の「政府債務」の項目で最下位だったのをはじめ、「労働市場の効率性」の「女性の社会進出」も77位と低い水準にとどまっています。また「イノベーション」の、「産学連携」や「活動できる科学者やエンジニア」など、昨年に比べて順位を落とした項目が目立ちました。

地域別で見ると、東アジアや太平洋地域が競争力を上昇させつつあるようです。香港が前年の9位から6位に躍進し日本を抜き、中国も順位を1つ上げ27位となりました。一方で、先進国の生産性が低下している兆候が見られ、技術革新等を進める必要があると指摘されています。

表1:日本は順位を2年連続で落とし9位

※国際競争力ランキング(2017年) 出所:世界経済フォーラムのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
順位 国・地域 前年順位
1 スイス 1
2 米国 3
3 シンガポール 2
4 オランダ 4
5 ドイツ 5
6 香港 9
7 スウェーデン 6
8 英国 7
9 日本 8
10 フィンランド 10

表2:12の項目のスコアを算出し総合得点を決定

※日本の各項目ごとの順位(今回および前年) 出所:世界経済フォーラムのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
  項目 順位 前年順位
1 制度 17 16
2 インフラ 4 5
3 マクロ経済環境 93 104
4 健康と初等教育 7 5
5 高等教育と訓練 23 23
6 財市場の効率性 13 16
7 労働市場の効率性 22 19
8 金融市場の洗練度 20 17
9 技術成熟度 15 19
10 市場規模 4 4
11 ビジネスの洗練度 3 2
12 イノベーション 8 8

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