金融市場NOW

家計金融資産 過去最高に

2017年09月25日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

所得の増加と株高による保有評価額の増加が背景

  • 2017年4-6月期の家計金融資産の残高は1,832兆円となり、過去最高を更新した。
  • NISA開始による個人投資家の増加やGPIFの運用資産構成の見直し等により、「貯蓄から投資へ」の流れが加速するか注目される。

日本銀行が9月20日に発表した2017年4-6月期資金循環統計(速報)によると、家計が保有する金融資産残高は6月末時点で1,832兆円となり、過去最高を更新しました(グラフ1)。所得の増加を背景に「現金・預金」が増加を続けていることに加え、昨今の株高を受けて株式保有額が膨らみ、「株式等」や「投資信託」が前年同期比10%を超える伸びとなっています。しかし、「株式等」の購入額はマイナスとなり、「現金・預金」も42四半期連続で増加を続けていることから、家計金融資産の構成は引き続き「現金・預金」が中心となっています。

資産別の残高の内訳は、「現金・預金」が同2.6%増の945兆円と過去最高を更新しました。現金や普通預金など流動性の高い資産が増えています。「株式等」は同22.5%増と高い伸びとなり、残高は2007年6月末以来の高水準となりました。2016年6月末が前年同期比で下落した反動と株価の値上がりによる時価評価の上昇が寄与しました。「投資信託」は同15.6%増の100兆円と比較可能な2005年以降で過去最高となりました。「株式等」と同様に評価額の上昇に加え、取引も買い越しとなりました(グラフ2)。

近年は、少額投資非課税制度(NISA)の開始による個人投資家の増加や、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用資産構成の見直しなど、「貯蓄から投資へ」の流れは広がりつつあることから、今後の家計の金融資産の構成比に変化が生じる可能性もありそうです。

グラフ1:日本の家計金融資産の推移

日本の家計金融資産の推移
出所:日本銀行のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:日本の家計金融資産の構成(2017年6月末時点)

日本の家計金融資産の構成(2017年6月末時点)
出所:日本銀行のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

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