金融市場NOW

IoT普及 GDP押し上げか

2017年09月12日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

「働き方改革」や「地方創生」の実現に向け活用

  • 総務省は、IoTを利用した経営改革の進展により2030年のGDPが約725兆円になると試算。
  • 省力化や在宅勤務の広がり等により、2030年の就業者数はベースシナリオから増加が見込まれる。
  • IoTなどを活用した生産性の向上は、人手不足解消や1人当たりの所得増加をもたらすと期待される。

総務省が発表した2017年度版情報通信白書によると、さまざまなものがインターネットにつながる「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」技術が今後も順調に広がった場合、2030年の実質国内総生産(GDP)は、内閣府が推計するベースシナリオより22%(132兆円)多い725兆円となり、2016年からの平均経済成長率は年2.4%になる見込みであると試算しました(グラフ1)。IoTを支える次世代通信規格「5G」の登場により、2020年にはIoT機器がおよそ300億個と現状の倍近くになるとも予想されており、企業が生産性を高めるほか、新しい商品やサービスが生まれやすくなることで成長力が高まるとしています。

この試算は、IoTへの投資やその結果生まれる新サービスに加え、企業が専門の人材を増やしたり、IoTに強みのある企業を買収することによる効果なども見込まれています。労働政策研究・研修機構の推計によれば、2030年の就業者数はベースシナリオの5,561万人から6,300万人に増えると予想されており、省力化や在宅勤務の広がりなどにより、高齢者や女性の就業率が上がる効果が大きいとみられています。

日本は他国と比較しても急速に少子高齢化が進行しており、生産年齢人口は1995年をピークに減少に転じています(グラフ2)。少子高齢化やこれに伴う人口減少は、中長期的な経済成長を阻害する可能性があると予想されます。将来的な人口減少の進行は避けられないものの、IoT・AI(人工知能)などのイノベーションは生産性向上を通じて人手不足を解消するとともに1人当たりの所得を増加させることが見込まれるため、政府が掲げる「働き方改革」や「地方創生」の実現に向け、大いに活用されることが期待されています。

  • 第5世代移動通信システム

グラフ1:IoT技術・投資の進展で経済成長の加速が期待される

IoT技術・投資の進展で経済成長の加速が期待される
※IoT・AIの経済成長へのインパクト(実質GDP) ※2016年から2020年のみ4年間 出所:総務省「情報通信白書(2017年度版)」を基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:生産年齢人口は減少傾向にある

生産年齢人口は減少傾向にある
※生産年齢人口(15~64歳)と高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)の推移 ※2020年以降は国立社会保障・人口問題研究所による推計値 出所:総務省「情報通信白書(2017年度版)」を基にニッセイアセットマネジメントが作成

金融市場動向一覧へ

「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。