金融市場NOW

法人企業統計 全産業の経常利益(四半期ベース)が最高に

2017年09月08日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

潤沢な手元資金をもとに設備投資は強めの基調か

  • 2017年4~6月期の法人企業統計によると全産業の経常利益は前年同期比で22.6%増となった。
  • 自動車販売等の輸送用機械が好調であったことから、製造業が全体を押し上げた。
  • 設備投資は3四半期連続のプラス。今後も人手不足を補う投資等がけん引することも期待されるか。

財務省が9月1日に発表した2017年4~6月期の法人企業統計によると、全産業(金融業、保険業を除く、資本金1,000万円以上)の経常利益は前年同期比で22.6%増となりました(グラフ1)。四半期ベースの金額は22兆3,900億円と過去最高となりました。また、設備投資は同1.5%増で、前年同期を3四半期続けて上回りました(グラフ2)。

経常利益は製造業が46.4%、非製造業が12.0%とそれぞれ増加となりました。製造業は、自動車販売が好調であることから輸送用機械が全体を押し上げました。また熊本地震による工場停止などで一時的に生産が滞っていた影響が解消したことも利益改善の要因となっています。非製造業は、卸売業で原油や石炭などの資源価格が昨年と比べると上昇し、価格の上昇を販売価格に転嫁できたため利益率が改善しました。運輸業では訪日外国人による鉄道や航空便の利用が増加したほか、海運でコンテナ船の市況が回復したことが利益増に寄与しました。

設備投資は前年同期比1.5%の増加となりました。3四半期連続のプラスとなったものの、同じ期間の中での伸びは最も鈍くなっています。業種別の設備投資は、非製造業が6.9%増。ホテル建設や娯楽施設への投資が増えるなど、サービス業が伸びました。一方、製造業は7.6%減。前年行った生産能力増強投資の反動で、輸送用機械や情報通信機械などが減少しました。

企業の設備投資は当面は、強めの基調が継続するとみられています。2016年度の内部留保は400兆円を突破するなど、企業の手元資金は潤沢であり、一部報道等によれば引き続き人手不足を補う投資や五輪需要などがけん引するとの見方もあるようです。

グラフ1:経常利益(全産業)の伸び率は4期連続でプラス

経常利益(全産業)の伸び率は4期連続でプラス
※全規模ベースの経常利益(前年同期比増減率)の推移 出所:財務省「法人企業統計」を基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:設備投資は3四半期連続のプラス

設備投資は3四半期連続のプラス
※全規模ベースの設備投資(前年同期比増減率)の推移 出所:財務省「法人企業統計」を基にニッセイアセットマネジメントが作成

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