金融市場NOW

最低賃金 引上げへ

2017年08月28日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

15都道府県で800円以上

  • 全国の平均賃金は、現在より25円高い848円となった。時給800円以上の自治体は15都道府県に上る。
  • 上げ率は2年連続3%超。安倍内閣が中期的な目標とする、平均時給1,000円の実現が可能となるか。
  • 東京などと、一部の地方との賃金格差は拡大傾向にあるという課題は依然として残る。

2017年度の都道府県別最低賃金の改定額の答申が8月17日に出そろいました。

時給800円以上の自治体が前年比で7割増加の15都道府県に上り、全国平均は現在より25円高い848円になりました(グラフ1)。賃上げの流れが地方に波及するのを後押しし、最低賃金に近い時給で働く非正規社員の待遇改善につながりそうです。政府は2016年6月に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」で、最低賃金の「年3%程度の引き上げ」を盛り込んでおり、全国平均の引き上げ率は昨年に続いて2年連続で3%を超えました。上げ幅は、日額から時給に変更した2002年度以降で最大の伸びであった2016年度を1円上回り、過去最大を更新しました。東京都の最低賃金も3%程度の引き上げが続いており、このペースが継続すれば2年後の2019年には、東京や神奈川などの最低時給が1,000円台に乗る見込みです。安倍内閣が中期的な目標とする全国加重平均での「時給1,000円」の実現が可能となりそうです。

昨年の答申で800円を上回ったのは9都府県でしたが、今年は北海道や岐阜、広島など6道県が新たに800円台に引き上がりました(グラフ2)。国の目安を上回る引き上げ額を答申した都道府県も多数あり、正社員と非正規労働者の賃金格差解消や、大幅な賃上げを求める国の意向に沿う形となったようです。

改定後の最高額は東京都の958円、最低額は高知県や佐賀県などの8県の737円で差が221円となり、前年度と比べ3円広がりました。東京などと地方の一部との賃金格差は拡大傾向にあるままであるという課題も依然として残されているようです。

グラフ1:最低賃金は上昇傾向が続いている

最低賃金は上昇傾向が続いている
※最低賃金額と引き上げ幅の推移 出所:厚生労働省のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:今年度は新たに6道県が800円台に引き上がる

今年度は新たに6道県が800円台に引き上がる
※2017年度地域別最低賃金時間額答申状況 出所:厚生労働省のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

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