金融市場NOW

訪日客の消費 変化の兆し

2017年08月18日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

“モノ消費”から“コト消費”へ

  • 訪日外国人の消費に変化がみられ、消費の中心であった中国を抜き欧州勢が主役になりつつある。
  • 欧州と中国の消費行動は対照的であり、英国は宿泊や飲食、娯楽サービス等の消費が中心。
  • 政府は2020年に訪日客消費8兆円の目標を掲げており、訪日客数の増加と支出の底上げが重要か。

訪日外国人の消費に変化が表れつつあるようです。国籍・地域別の訪日外国人旅行消費額は、これまで中国が中心でした。観光庁によれば、2017年4~6月期の1人あたり旅行消費額は、首位の英国が25万円、2位のイタリアが23万円となりました。従来トップであった中国は22万円となり3位(グラフ1)、フランスやスペインも20~21万円台となり、近年は欧州勢が存在感を高めつつあります。地方での訪日外国人消費も息長く続き、いずれ地方経済のけん引役は公共投資から観光消費にかわるとの期待も出ています。

欧州と中国の消費行動は対照的です。英国は宿泊や飲食、娯楽サービスに旅行代の72%を使うのに対し、中国は35%にとどまっています。買い物は英国が13%にとどまるのに対し、中国は旅行代金のおよそ6割を占めています(グラフ2)。

2017年1~6月期の訪日客消費額は2兆456億円で、過去最高となりました。政府は2020年に訪日客消費を現状のおよそ2倍の8兆円の目標を掲げていますが(グラフ3)、今後も消費を伸ばすには訪日客数を増やすことに加えて支出の底上げが重要となり、“コト消費”への取り組みが不可欠となるとみられます。

2016年の訪日客は中国が600万人超である一方、英国は30万人弱となっています。現在はアジア諸国・地域からの訪日客が8割以上を占める構図となっていますが、将来変化する可能性があり、その対応を急ぐ必要が出てきそうです。

グラフ1:2017年4~6月期は英国とイタリアが上位に

2017年4~6月期は英国とイタリアが上位に
※1人あたりの旅行消費額 出所:観光庁のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:英国の消費は飲食・娯楽サービスが中心

<中国>

中国

<英国>

英国
※費目別訪日客の消費(2017年4~6月期) 出所:観光庁のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ3:2020年に訪日客の旅行消費額を倍増へ

2020年に訪日客の旅行消費額を倍増へ
※訪日客の消費額推移(2020年は政府の目標値) 出所:観光庁のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

金融市場動向一覧へ

「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。