金融市場NOW

子どもの貧困 学習・生活支援求められる

2017年07月19日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

12年ぶりに改善するも、なお7人に1人

  • 2015年の国民生活基礎調査の子どもの貧困率が13.9%と前回より低下。雇用環境の改善が要因か。
  • なお、7人に1人が貧困であり、先進国の中では依然として高水準であるというのが現状。
  • 貧困家庭の放置による経済的損失は約2兆9,000億円と推計されており、今後も支援の強化が必要。

厚生労働省の国民生活基礎調査で、『子どもの貧困率』が、2015年に13.9%だったことがわかりました。改善は12年ぶりとなり、過去最悪だった前回調査(2012年)から2.4ポイント改善となりました(グラフ1-1)。しかし、先進国の中では依然として高水準となっています。日本の子どもの貧困率は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でデータのある30ヵ国中19番目の高さであり(2012年時点)(グラフ1-2)、上記厚生労働省調査では現在も7人に1人が貧困であるという高い水準にあることから、引き続き対策が求められることになりそうです。子どもの貧困率は、1985年に10.9%でしたがその後上昇傾向が続き、2009年に15.7%、2012年に16.3%と2回連続で過去最悪を更新していました。直近は雇用環境の改善により働く母親が増加し、月例給与やパートの時給も上がったことから、貧困率の改善につながったとみられています。

貧困世帯の子どもを対象とした支援事業も、全国的な広がりを見せています。2014年に『子どもの貧困対策推進法』が施行され、同法に基づき国や自治体は子どもの居場所づくりや学習支援などの取り組みを進めています(グラフ2)。

日本財団が2015年に、貧困家庭の子どもを支援せずに格差を放置した場合、わずか1学年だけでみても、社会が被る経済的損失は約2兆9,000億円に上るとする推計結果を公表しており、子どもの貧困対策は強化すべきだとしています。

  • 平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす17歳以下の子どもの割合。

グラフ1-1:上昇傾向であった子どもの貧困率は改善

上昇傾向であった子どもの貧困率は改善
※子ども(0~17歳)の貧困率の推移

グラフ1-2:改善するもOECD加盟国の中では高水準

改善するもOECD加盟国の中では高水準
※子ども(0~17歳)の貧困率の国際比較(2012年時点) 出所:内閣府、OECDのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:小中学生の就学支援は上昇傾向にある

小中学生の就学支援は上昇傾向にある
出所:内閣府のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

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