金融市場NOW

シニア起業家増加

2017年07月18日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

シニア起業家が増加するも、割合は先進国(26ヵ国)平均を下回る

  • 起業を選択するシニアが増加。少子高齢化や年金受給開始年齢の引き上げ、定年制の存在等が要因として指摘されている。
  • 日本のシニア起業率は先進国(26ヵ国)平均(以下同じ)を下回る。日本経済の活力向上に向け、シニア起業率引き上げのための融資や教育制度の更なる充実等が望まれる。

第二の人生として起業を選択するシニアが増加しています。世界の経営学者が実施する「グローバル・アントレプレナーシップ・モニター(GEM)調査」によると、日本のシニア(55~64歳)起業家は約63万人(2015年時点)で、10年前の約37万人から約7割増加しています。日本のシニア起業率(シニア人口に占めるシニア起業者人数)は4.0%と10年前より2ポイント改善し、先進国平均の1.1ポイント改善を上回っています。シニアが年金受給開始年齢の引き上げに不安を抱き始めたこと、少子化でシニア労働者に期待が集まっていること、定年制の存在等が要因と見られています。但し、先進国平均の4.6%には届いておらず、順位は18番目の低さに留まっています。

シニア起業家の増加にも関わらず、日本全体でみた起業の動きは鈍いようです。各国の起業活動の活発さをあらわす指標である「総合起業活動指数(TEA)」(18歳から64歳までの成人人口に占める起業家の割合)(GEM調査)(2016年時点)をみると、イタリアやドイツ等は上回ってはいるものの、61ヵ国中56番目の低さとなっています(グラフ1)

少子高齢化の進展で生産労働人口が減少し、日本の活力が低下することが懸念されています。また、若者を中心とする開業意欲の低下も問題視されているようです。中小企業白書によると日本の開業率(既存事業所数に対する新規成立事業所数)は他の主要国に比べて低水準で推移しており(グラフ2)、また起業無関心者の割合は2012年時点で77.3%と、米国の22.9%やドイツの30.6%等と比較して高くなっています。

若者の開業意欲を高め、また、経験・スキル・人脈等を豊富に持つシニア層に日本経済の活力向上の一翼を担ってもらうため、融資や教育制度、事業につまづいた場合の救済制度の更なる充実等が望まれます。

グラフ1:総合起業活動指数(TEA)主要国比較

総合起業活動指数(TEA)主要国比較
出所:GEM、中小企業庁・厚生労働省データ等を基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:主要国の開業率

主要国の開業率
出所:GEM、中小企業庁・厚生労働省データ等を基にニッセイアセットマネジメントが作成

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