金融市場NOW

世界の半導体市場が拡大

2017年06月12日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

業界のさらなる利益成長が期待される

  • 世界半導体市場統計(WSTS)は2017年の世界半導体販売額が3,778億ドルになると予測。
  • スマートフォンの高性能化などにより、半導体メモリーの伸び率がもっとも高くなった。
  • 昨今の半導体業界の利益成長期待の高まりにより、近年、SOX指数が上昇傾向にある。

半導体の業界団体である、世界半導体市場統計(WSTS)は6月6日に、2017年の世界の半導体販売額が前年比11.5%増の3,778億ドル(およそ41.4兆円)になるとの予測を発表しました。世界の販売額は、2年連続で過去最高を更新することになります(グラフ1)。特に、半導体メモリーやセンサー類の出荷増が全体をけん引したようです。

製品別にみると、半導体メモリーが30.4%増の1,001億ドルとなり、もっとも伸び率が高くなりました。スマートフォンの高性能化に加え、データセンターの記憶装置向けにNAND型フラッシュメモリー※1の需要が拡大しました。ハードディスクドライブからの置き換えが進行しているようです。センサー類は13.9%増の123億ドルとなりました。あらゆるものがネットにつながるIoT(Internet of Things(モノのインターネット化))を背景に、加速度センサーなどの需要が拡大しています。今後の見通しとして、2018年の販売額は対2017年比2.7%増の3,879億ドル、2019年は対2018年比0.2%減の3,871億ドルと予測しています。

近年の半導体市場の拡大は世界的な潮流となっており、米国でも関連株が堅調な動きとなっています。同業界の利益成長期待の高まりにより、SOX指数(フィラデルフィア半導体株価指数) ※2(表1)がS&P500種指数に比べ、大きく上昇しています(グラフ2)。「ITバブル」と呼ばれた1999年以来のブームでは、半導体の主用途はパソコンであったのに対し、近年は高機能化したスマートフォン・タブレット端末が世界中で売られるようになったことが、半導体需要の伸びをけん引しているようです。

  • パソコンやデジタルカメラ、携帯音楽プレーヤー、携帯電話などのデータを保存するために使われている記憶媒体のひとつ。
  • 米国のフィラデルフィア証券取引所が算出・公表している、半導体の設計・製造・流通・販売を手掛ける企業の株式で構成される単純平均株価指数

グラフ1:IC(集積回路)を中心に半導体市場は拡大

IC(集積回路)を中心に半導体市場は拡大
※製品別市場予測の推移(2017年以降はWSTSによる予測値) 出所:一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:半導体市場の拡大によりSOX指数は堅調推移

半導体市場の拡大によりSOX指数は堅調推移
※S&P500種指数とSOX指数は2012年12月末を100とし指数化 出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

表1:SOX指数の時価総額上位5銘柄

※2017年6月7日時点。上記は特定の銘柄を推奨するものではありません。 出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
銘柄名 ウェイト 概要
台湾セミコンダクター(台湾) 17.7% 半導体
インテル(米国) 15.9% コンピューター部品
ブロードコム(米国) 9.5% 半導体
エヌビディア(米国) 8.2% 3Dグラフィック
クアルコム(米国) 8.1% デジタルワイヤレス

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