金融市場NOW

観光競争力ランキング 最高の4位

2017年05月18日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

課題認識と改善により「観光立国」実現なるか

  • 2017年の旅行・観光競争力ランキングにおいて、日本は136カ国・地域の中で第4位と躍進。
  • 前回に引き続き“客の待遇”が首位となり、おもてなしが高く評価される。
  • 今後さまざまな指標が改善されれば、安倍政権のめざす2020年に訪日客4,000万人も実現可能か。

世界経済フォーラムがまとめた2017年の旅行・観光競争力ランキングにおいて、日本が調査対象136カ国・地域の中で4位と前回15年の9位から大きく順位を上げ、2007年の調査開始以来過去最高となりました(表1)。高いランクで評価されたのは、「インフラ(社会基盤)」、「自然資源」、「文化資源とビジネス旅行」などです。また競争力を評価する1~7までのスコアでは、『安全・安心』、『保健・衛生』、『文化資源とビジネス旅行』が高得点を得ました。政府がどれだけ観光を重んじるかを示す項目でも大きく上昇し、昨今の訪日外国人の増加を裏付ける結果となりました(図1)。

日本は"客の待遇" *が前回に引き続き首位となり、おもてなしが高く評価されました。また今回はさらに"チケットへのサーチャージ・航空使用料" *などが改善し、価格競争力を119位から94位にまで押し上げ、『旅行・観光の優先度』も16位と前回の42位より大幅に上昇しました。フォーラムは、「日本は先進工業国でありながら、観光誘致をおろそかにせず、観光部門の活動に国家予算の約4.5%を投資している」「また、燃料価格や航空券税が大幅に削減されたおかげで、価格競争力を付けている」などと指摘し、「文化資源を売り込み、天然資源保護と相まって、価格競争力の改善が全体的なパフォーマンスをけん引している」と結論付けています。一方で、「環境の維持」が45位となり、今後もっと好結果を実現しなければならない分野であると指摘されています。当項目を含め今回評価が低かった項目からは、日本の今後の課題が見えてきそうです。

*評価項目では『人材と労働力市場』に該当。

「観光立国」をめざす安倍総理は、2020年に訪日客4,000万人の目標を掲げていますが、さまざまな指標が改善されていけば、実現も可能と思われます。

  • 各国・地域の観光地としての評価を表す指標。2017年版は、国家規制やビジネス戦略、人的・文化的資源などの4領域14項目90の分野で調査。

表1:日本は2015年の9位から躍進

※旅行・観光競争力ランキング(2017年)
出所:World Economic Forum「Travel & Tourism Competitiveness Report」を基にニッセイアセットマネジメントが作成
順位 国・地域 前年順位
1 スペイン 1
2 フランス 2
3 ドイツ 3
4 日本 9
5 英国 5
6 米国 4
7 オーストラリア 7
8 イタリア 8
9 カナダ 10
10 スイス 6

図1:今回は多くの評価項目で順位を上げる

タイトル
※前回(2015年)より順位を上げた項目には赤点線。
出所:World Economic Forum「Travel & Tourism Competitiveness Report」を基にニッセイアセットマネジメントが作成

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