金融市場NOW

外国人の純流入が増加

2017年05月08日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

人手不足により存在感増す

  • 総務省が公表した2016年10月時点の人口推計において、外国人の純流入が過去最高となった。
  • 事業者から届け出があった外国人労働者数も初めて100万人の大台を突破、増加ペースが早まる。
  • 今後は、外国人の呼び込みとともに、日本の人口の減少を食止めるための政府の施策が期待される。

総務省が4月14日に公表した2016年10月時点の人口推計で、外国人の入国者数から出国者数を差し引いた純流入が13万6,000人となり、比較可能な統計がある1950年以降で最大となりました(グラフ1)。15~64歳の生産年齢人口が急激に減る中、貴重な働き手として外国人の存在感が増してきているようです。今後は医療・教育面のインフラ整備といった外国人材の受け入れ体制の強化が求められるものと思われます。

外国人の純流入は4年連続です。日本人の海外流出をしのぐ規模で外国人の安定した流入が続き、その増加幅も拡大が続いています。また、外国人労働者数も増加傾向にあるようです(グラフ2)。厚生労働省によると、事業者から届け出があった外国人労働者数は、2016年10月時点で108万人となり、初めて100万人の大台を突破しました。前年よりも2割増えるなど増加ペースが早まっており、中国を筆頭にベトナムやネパールからの渡航が増えるなど出身地域の幅も広がりつつあるようです。労働者のみならずその配偶者らの来日も増加しつつあることから、今後は潜在的な消費の担い手としての期待が高まることが考えられます。

近年、外国人が流入している背景には、緩やかな景気回復とともに、安倍政権の経済対策への期待感があるものと思われます。深刻な労働力人口の減少が続くなか、企業側は外国人登用を積極化しているようです。政府は働き手確保のため永住権を取得できるまでに必要な滞在期間の短縮化を図るなど、優れた経営手腕や技術を備えた高度外国人材の定着を後押しするための施策に動き始めています。

政府は外国人の呼び込みとともに、日本の人口の減少を食止めるための労働市場や雇用制度、子育て支援に至る有効な対策を講じることが不可欠となりそうです。

グラフ1:国内へ流入する外国人が増加している

国内へ流入する外国人が増加している
※外国人純流入数の推移
出所:総務省のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:外国人労働者数は100万人の大台を突破

外国人労働者数は100万人の大台を突破
※外国人労働者数の推移
出所:厚生労働省のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

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