金融市場NOW

転職者数増加 300万人の大台回復

2017年03月28日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

労働市場の構造変化が進行

  • 2016年の労働力調査(詳細集計)によると、転職者数は前年より8万人増加して306万人となった。
  • 正規社員への転職の増加とともに、管理職等のニーズの高まりから中年層が存在感を増している。
  • 転職市場の活性化による所得の増加は、個人消費を刺激することも期待される。

総務省が2月17日に発表した2016年の労働力調査(詳細集計)によると、転職者数は前年より8万人増えて306万人となりました。2009年の320万人以来の高い水準であり、リーマンショック前のピークである346万人に向けて着実に回復が進んでいます。

1990年代以降、パートや派遣などの雇用期間が不安定で離職率の高い非正規雇用の割合が上昇したことに伴い、転職市場も拡大しました。しかし、近年では『転職は非正規が中心』という常識も崩れてきているようです。また、転職者数に占める35歳以下の若年層の割合がこの10年間で低下が続く一方で、大きく存在感を増しているのが中年層です(グラフ1)。2016年調査をみると45~54歳の転職者数は50万人と、統計を遡ることができる2002年以降では最多を記録しました。3年で10万人増えていますが、そのテンポが速まっているのは、ベテランの管理職や専門性の高い人材の需要が強まっていることが背景にあるようです。

転職市場の需給が引き締まりつつあることを映し、転職後に年収が元の職場を上回るケースも増加してきました。厚生労働省の調査によると、転職で元の職場より賃金が増えた人は2015年に初めて減った人を逆転しました(グラフ2)。

転職市場の活性化により家計の所得が増加すれば、個人消費を刺激することも期待できそうです。また、中年層を含む雇用の流動化により、生産性の高い業種や企業に人材が流れることで、日本経済の潜在力を押し上げるきっかけになるという見方もあるようです。

グラフ1:管理職や専門性の高い人材を求める動きから45歳以上の中高年層の転職が活発になっている

2006年

2006年

2016年

2016年
出所:総務省「労働力調査」を基にニッセイアセットマネジメントが作成
※転職者の年齢別構成

グラフ2:2015年に初めて転職により賃金が増加した人が減った人を上回る

2015年に初めて転職により賃金が増加した人が減った人を上回る
出所:厚生労働省「雇用動向調査」を基にニッセイアセットマネジメントが作成

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