金融市場NOW

エンゲル係数 29年ぶりに高水準

2017年03月14日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

共働き世帯の増加など社会構造の変化が上昇要因か

  • エンゲル係数が29年ぶりの高水準。共働き世帯増加による調理食品などの購入増加が上昇の背景。
  • 勤労者世帯の同係数も1990年以来の高水準。円安傾向による加工食品等の価格上昇が要因か。
  • 働く女性の増加など社会構造の変化も要因とされており、今後の消費動向が注目される。

総務省が2月17日に発表した2016年の家計調査速報によると、家計の支出に占める食費の割合である『エンゲル係数』は、2人以上の世帯で前年より0.8ポイント上昇して25.8%となりました。1987年以来29年ぶりの高水準です。食品価格が上昇したほか、共働き世帯の増加で調理食品などの購入が増えたことが背景にあると考えられます。

勤労者世帯のエンゲル係数(農林漁業世帯を除く)は24.1%となり、1990年以来の高水準となりました(グラフ1)。家計の支出のなかで食品は他の支出に比べて削りにくく、一般的に『エンゲル係数が高いほど他の支出に回す余裕がなく、経済的に苦しい』とされ、経済が発展途上にあるときは高く、成熟すると低下してくる傾向があります。消費者物価指数(CPI)をみると、2016年の総合指数は0.1%低下したものの、食料は円安傾向で原材料が上昇し、加工食品等が値上がりしたことから1.7%上昇となっています。

働く女性の増加も食品への支出増につながっているようです。総務省が発表した労働力調査によると、女性の就業率は48.9%と前年比0.9ポイント上昇し、1993年以来の高水準となりました(グラフ2)。勤労者世帯の食品への支出は、『時短』につながる弁当や総菜セットなどの調理食品等の購入を背景に増加しています。

エンゲル係数が上昇する一方で、勤労者世帯の消費支出は実質で1.7%減少していることから、食品以外の衣料品などを買い控えて食品の購入に充てているとも考えることができます。共働き世帯や高齢化の進展などの社会構造の変化とともに、今後の消費の動向が注目されそうです。

グラフ1:近年、エンゲル係数は急上昇

近年、エンゲル係数は急上昇
※2人以上の勤労者世帯(農林漁業世帯を除く)
出所:総務省「家計調査」を基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:女性の就業率は4年連続で上昇

女性の就業率は4年連続で上昇
※2011年は就業者数のデータがないため前年と同数値を使用。
出所:総務省「労働力調査」を基にニッセイアセットマネジメントが作成

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