金融市場NOW

IMF世界経済見通し(2017年1月時点)

2017年01月24日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

世界の成長率 3.4%に据え置き

国際通貨基金(IMF)は1月16日に発表した最新の世界経済見通しで、2017年の世界経済成長率(前年比)見通しを3.4%とし、昨年10月の予測を据え置きました。2016年の世界経済の推定成長率は3.1%で、リーマン・ショック直後の2009年以来の低い伸びにとどまりました。先行きは、米国の財政拡張策と世界的な資源価格の持ち直しなどを見込んで、2018年には成長率が3.6%に上向くと予想しています。

米国は2017年が2.3%、2018年が2.5%とそれぞれ前回から上方修正されました。トランプ次期政権の減税やインフラ投資策が景気を押し上げるものの、利上げの加速によって成長率の伸びは抑えられると分析しています。ドル高などが進めば「保護主義的な政策が強まるリスクがある」とも指摘しています。

日本は円安による企業業績の上振れなどを見込み、2017年の成長率が0.2ポイント上方修正されました。しかし、2016年の0.9%からはやや減速し、2018年も0.5%成長と伸び悩みが継続すると予測しています。

ユーロ圏は1%台半ばの成長が見込まれていますが、イタリアについては2017年、2018年ともに下方修正されました。英国は2017年の成長率見込みが上方修正されましたが、2018年は欧州連合(EU)離脱による景気下押し効果が表面化するとみて、0.3ポイント下方修正されました。

表1:IMF世界経済見通し(前年比)

2017年1月時点

単位:%
*1 インドは年度ベース
*2 インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム
*3 オーストラリアは2016年10月時点との比較
出所:IMFのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
  2016年(前年比) 見通し(前年比) 前回(2016年10月時点)との比較
2017年 2018年 2017年 2018年
世界 3.1 3.4 3.6 0.0 0.0
先進国 1.6 1.9 2.0 0.1 0.2
日本 0.9 0.8 0.5 0.2 0.0
米国 1.6 2.3 2.5 0.1 0.4
ユーロ圏 1.7 1.6 1.6 0.1 0.0
ドイツ 1.7 1.5 1.5 0.1 0.1
フランス 1.3 1.3 1.6 0.0 0.0
イタリア 0.9 0.7 0.8 -0.2 -0.3
スペイン 3.2 2.3 2.1 0.1 0.1
英国 2.0 1.5 1.4 0.4 -0.3
カナダ 1.3 1.9 2.0 0.0 0.1
新興国 4.1 4.5 4.8 -0.1 0.0
中国 6.7 6.5 6.0 0.3 0.0
インド *1 6.6 7.2 7.7 -0.4 0.0
ASEAN5 *2 4.8 4.9 5.2 -0.2 0.0
ブラジル -3.5 0.2 1.5 -0.3 0.0
ロシア -0.6 1.1 1.2 0.0 0.0
オーストラリア *3 2.9 2.7 -0.3

グラフ1:主要先進国の経済見通し(前年比)

主要先進国の経済見通し(前年比)
出所:IMFのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:主要新興国の経済見通し(前年比)

主要新興国の経済見通し(前年比)
出所:IMFのデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

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