金融市場NOW

米国経済指標からみた米国株式の動向について

2014年10月02日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

米自動車販売の動向

グラフ1:米自動車販売総計と米国株式の推移

※米国株式はS&P500種指数
出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

2008年のリーマン・ショック以降、米国の景気回復の足を引っ張っていたと思われる自動車産業。しかし、今は逆に自動車産業が米国経済の成長をけん引しつつあります。8月の米自動車販売総計は1,745万台(季節調整済、年率換算)と、市場予想(1,660万台)を上回り、2006年1月以来の高水準を記録しました。
低金利や燃料価格の抑制に加え、"買い替え需要"の高まりが寄与しているといわれています。米自動車調査会社によれば、「乗用車の保有年数は平均で11.4年余り。燃費効率が高いエンジンやインターネット接続機能を備えた運転席、ゼロ金利のローンなどは、今すぐに自動車を購入することを決断する材料となっている」とのことです。(グラフ1)。

米住宅販売の動向

グラフ2:米住宅販売件数と米国株式の推移

※米国株式はS&P500種指数
出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

8月の新築住宅販売件数は季調済の年換算で50.4万件と前月(改定値:42.7万件)から増加に転じました。単月の増加率としては1992年以来の大きさで、販売件数は2008年5月以降で最も多くなりました。
一方、 8月の中古住宅販売件数は季調済の年換算で505万件と前月(改定値:514万件)からほぼ横ばいで推移しています。
住宅市場については、雇用の拡大、所得の伸び、消費者マインドの改善、賃貸住宅需要の改善等を背景とした住宅需要の拡大や人口増という構造的要因や超低金利等が追い風になり、堅調に推移していると思われます。(グラフ2)。

米労働市場の状況と今後の米国株式市場

グラフ3:米失業率と米国株式の推移

※米国株式はS&P500種指数
出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

8月の雇用統計では、8月の失業率は6.1%、前月の6.2%から低下しました。非農業部門雇用者数は前月比14.2万人増と市場予想の23万人を下回りました。8月の非農業部門雇用者数は、市場予想を下回ってはいるものの、米国の労働市場は引き続き改善基調にあると思われます(グラフ3)。
今後の米国経済につきましては、堅調に推移すると予想されます。10月には、FRB(連邦準備制度理事会)による量的緩和は終了する予定ですが、引き続き超低金利政策は維持される見通しです。超低金利の継続に加えて、裾野の広い自動車産業の復活や住宅需要の拡大など米国経済にはプラス材料が多く、順調な景気回復過程にあると思われます。
それに伴い、米国株式市場は、中長期的な上昇トレンドを継続すると考えられます。

金融市場動向一覧へ

「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。